日本財団 図書館


そして今日、大変な魅力となっているのは、町の中心地にある2000年前のローマの大浴場で、100年前に発掘されたものである。多くの観光客が来る。かつてはこの中で泳ぐことができた。ローマ式の大宴会も行うことができた。しかし、天候あるいは衛生の理由から20年前にここは閉鎖された。というのは、これはあまりにも重要な歴史的遺跡であるので、今の衛生基準では使えないこととなり、単なる遺産になったわけで、今では使えない。

これは1498年の中世の絵である。ローマ時代と同じくらいの規模だが、大きな修道院が真中にあって、修道院が支配する浴場という感じである。これはその時代に使われていた温泉。これはローマ時代から1500年たっても市内の温泉がそのまま使われていたことを表している。これはバースの町の全景である。緑の中にある黄金の町と私どもは呼んでいる。緑が十分にあり、これは法律で保護されている緑地帯である。

1700年代、この中世の町が破壊され、開発された。当時のデベロッパーが観光開発のために新しい町を作ったわけだ。それでとても面白い、特異な建築物が残った。こちらがロイヤル・クレッセントで、これがサーカスだ。

これが同じ時代の王立ミネラルウォーター病院である。これはリューマチ系の病気のための治療に使われた。1727年に創立され、今でも稼動している病院だ。バースではイギリスの健康保健制度の機関がここに設置されている。

これはコンピューターイメージだが、ローマ時代の温泉だ。これは18世紀に再現されて、ジョージ王朝時代の建物だ。これも我々のプロジェクトの一部で、すべて保護されている歴史的建造物であり、変えることはできない。しかし、その後ろに新しい建物を作ることができる。世界文化遺産の中に新しい建物を作ることは、なかなか大変なことになる。

これは歴史的構造物の後ろに新しい建物を作ったところだが、今はこの新しい建物は撤退した。

この建物の中には年配の患者が利用できるプールがある。これは私どもの健康保健制度で20年前に使用されていた。しかし中世の拷問室のように見えるので、国際的な設計コンペを行い、その結果、イギリス人のニコラス・ブリンクショーという建築家が設計したものが通った。彼の一番有名な作品はセビリアの万博における英国パビリオンだ。水を使った建築物である。彼は、水の壁、水のカーテンを作り、それが大変興味深いものだった。100以上のコンペの作品の中で、この水が建築物の一環であった彼を選んだのだ。これはコンピューター・イメージだ。古いスパも活用し、新しいデザインもつないだ。これは屋上にあるので、プールで楽しみながら市の全景も楽しめる。また室内プールもある。

これは同じ建物だが、地上から撮ったもので、非常にモダンであることがわかると思う。これこそがバースが必要としていた建物である。

これはオランダの画家アイシャーの地上の高い所まで水をくみ上げる絵である。これは、私どものプロジェクトもこれだけ難しいのかと考えることもあるが、とにかく2000年になれば完成するので、多くの日本人の方々にも来て頂き、我々の文化遺産だけでなく、新しい近代的な設備を利用してもらい、英国式のバースの温泉を利用して頂きたい。

 

山村教授(コーディネーター)

イギリスの非常に有名なバースの紹介でした。かつては温泉で治療を目的としていたが、最近ではストレス解消あるいは健康指向へ向かっている。一つのキーワードである「ウェルネス」を心と体を癒す、リラックスする方向へもっていきたい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION