日本財団 図書館


最後にそれらを含めまして実際に公共交通としてバリアフリー化あるいはノンステップバスを普及させていくという前提に立った場合、私共は従来の仕組みだけでは無理であろうと考えております。とくに、規制緩和や地方分権化という状況の中で、公共交通を地域がどのように支え、維持していくか、という点で新しい仕組みを創っていかなければならない。その中には試行錯誤もあると思いますが、それを行っていかなければならないと思いまして、先進国といえますヨーロッパの福祉交通・公共交通では、国あるいは地域での対応の仕組みができあがっているところで、どのような形で成立しているかということを紹介して、今後の21世紀の地域の公共交通をどうサポートするか、その中でノンステップバスをはじめ福祉交通をきちんと確保していくことが重要ではないかということを考えていきます。

最後には安心して住み続けることができる都市という言い方になっておりますが、それと交通を絡めたまちづくりが重要であるということで締めくくりとさせていただくという構成でございます。

 

1) これからの交通社会と政策課題

 

(1) 背景

 

最初に、これからの交通社会と政策課題と書いてありますが、これは皆様よくご承知のことと思いますが、総人口はだんだん安定してまいります。だいたい2020年頃安定することと、同時に高齢化が相当進展していること、世界でも最大といいますか、高齢化ということでは最も高い国の一つになるといわれています。そういった人口動学的な変化という交通に係る基本的な背景があげられます。

社会システムの転換・再構築とありますが、現在リストラが進んでおりますが、やはりこれは公共部門にも直接関係することと考えられます。当然、交通につきましてもリストラをせざるを得なくなります。そうすることによって、より豊かな社会を創るための突破口が開けるといわれております。これに関連したことで、地方分権化、規制緩和、あるいは自己責任原則の強化といった形がいろいろな局面で広がっていくと考えられます。そういう中で、地域がそれぞれの特性を生かしながら自立していく必要性がありますし、公共交通あるいは交通そのものが新しい社会のベースになるのではないかと思っています。

 

(2) 交通政策の課題

 

そういった場合、交通から考えると最大の課題は何かと考えると、私は現在の車だけに依存した社会というのはいろいろな意味で限界がきているということで、これをいかに社会的な形でうまく調整していくのか、賢く車を使っていくかという課題になるのではないかと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION