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●竹山

今ご紹介頂きました、遠州鉄道の竹山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

先程、先生の講演の中で大分褒められてしまいまして、非常に話しにくい点が多い訳なんですけれど。実は最近会社の中にコンサルタントを入れて、CS活動とかの徹底を図って、進めている訳なんですが、その中でもあるコンサルタントの先生が久保田先生と同じようなことを言われまして、「非常に進んでいます。しかし、他の業種の方からしますと1周遅れていますね」と。「ですから遠鉄さんは素晴らしいですけど、1周遅れのトップランナー」だということを言われました。まさしく反省しなきゃいけないと業界全体含めて反省しなきゃいけないということで、1周遅れのトップランナーがお話させて頂くということでご理解頂きたいと思います。

まず乗合バス事業の現状からお話させて頂きますと、この浜松には自動車とか、オートバイとかのメーカーが集積しておりまして、私どもは頑張っている訳ですけれど、マイカーの普及率、利用率が非常に高いという地域であります。そういう中で、お客さんが一番ピークの時と比較しますと、大体60%位と、4割位減っているという実情であります。これは他のデータを調べてみますと、東京とか三大都市圏のお客さんの数がピーク時の75%位なんです。逆に全国平均でいきますと、ピーク時の40%ということで、地方に行けば行くほどマイカーの普及が非常に進んだ、あるいは利用が進んだという状況にある訳です。

そういう意味では地方の都市で事業を行っております我々は、いろんな環境を考えますと、とりあえず少しは、他の所よりは頑張ってきたと思っています。

最近の施策、現在までに進めてきた施策は先生からご紹介頂きましたが、重複すると思いますが、一部お話させて頂きたいと思います。

まず我々にとって最も大きなことからお話しさせて頂きますと、昭和59〜61年にかけまして、隣に市の野中部長さんが居られますが、浜松市営バスの移管というものを実施しました。3年間かけてやった訳です。これによりまして、交通体系として総合的なサービスが可能になったり、競合区間の運行ロスが無くなるという部分が出てきました。そういうことは勿論予想していましたが、我々がそこで新たに気づきました部分があります。それは一事業者になったことによりまして、他の事業者を真似したり、競争したりすることが無くなったのです。ということは、我々のお客さんを増やすためには、マイカーとの競争に勝つしかない、つまりどうするかと言いますと、車に乗っている方は、どうやったらバスに乗って頂けるかということを考え始めたんです。それともう1つは学ぶ相手も同業他社は勿論なんですが、それよりも地元の大手企業を中心とした異業種の方から学ぶ、学ぶしかないという環境に置かれてしまったということが一番大きなことだったのではないかと思います。その結果マーケティングとか、CS活動とかというもの(CSと言いますと、私どもはあまり英語が得意ではありませんから、簡単に言いますと「お客様第一主義」と言っていますが)をバス事業運営に取り入れることができました。

具体的に言いますと、バスを利用する学生の自宅の分布実態を学校に直接伺って地図に落として、どの辺りからどのようなルートでバスを出せば、学校の直通便として1車当たり40〜50人の乗客がいるかどうかという調査をやりまして、それに基づいてバスの学校への直通便(「モーニングダイレクト」と名付けました)をやりました。これはもう10年以上前の話になりますけども。その時、若い連中に実態とかを調べさせたりしたのですが、ある学校とある学校の生徒は一緒に乗るとか、あの学校とある女学生は乗らないから別々に走らせた方が良いとかいろいろありました。

 

 

 

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