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さらにその財団、国、自治体の方の取り組みというのは非常に「バリアフリー」に向かっていて、この「バリアフリー」とかですね、先程お使いになっていました「ユニバーサルデザイン」とか、さらに技術的な言葉であった「ニーリング」、そういう言葉が今日本人の生活の中にあっという間に入ってきてしまいました。これもここ2年くらいにですね、「ニーリング」とか、「ユニバーサルデザイン」とか知っている人というのは、まず専門家の間でもほとんどいなかったはずなんですけれど、ここにきて言葉としても急速に普及してきたということで、ここでもこの財団の貢献が非常に大きいところがあるなと、心より賛辞を申し上げたいと考えております。

物事が普及していくためには、ある法則が世の中にはある訳なんですね。多くの場合は成長曲線といわれる訳です。形としてはアルファベットの「S」時の端と端をちょっと引っ張って、寝たような形のものを成長曲線といいます。つまり最初はなかなか普及しないでジワーっと行く訳なんですが、ある時に爆発的に増えていって、ある時に安定するというこれが成長曲線といわれるものです。例えば世界の人口というのは長い間停まってきたんですが、人口爆発というものがあって増えていって、おそらく来世紀になって世界全体が落ち着くと思います。また携帯電話なんかも、最初は値段も高いし、なかなか普及しないんですけど、あるところで爆発的に増えてやがて普及していくと、こういうものを辿るというのは、世の中の約束ごとみたいなものです。間違いなくノンステップバスも、こういう曲線を辿っていくと思います。それで一番大変なのは何と言っても、最初の忍耐のところなんですね。ここで誰がどういうふうにプッシュしていくのかというのが、後の曲線に非常に効いてくるというところが重要なところでありまして、そういう意味で財団さんといろんな所の機関の方が数がまだ少なくて値段も高いところに助成といった形、その他いろんな形のサポートをされて今こうだったと。恐らく、今年あたりから急速に上向きだして段々量産体制に入っていけば、おそらくあっという間に標準化されていくのだろうというふうに考えております。

そういう意味では、これは言い過ぎであったら申し訳ないんですけど、ノンステップバスの普及ということで言えば、恐らく第1期の目的は既に達しているんではないかと私は感じております。そして問題はといいますか、次の第2期にどういうことをやっていくべきか、我々こういうことに携わっている者の役目は何かかというお話しを、今日はさせて頂きたいと考えております。

都市問題、あるいは交通問題、その他何でもそうですけれど、物事、課題、問題とかは大きく分けて2種類あります。1つはですね、技術開発にとって全く新しいブレイクスルーが起きるという、これによって問題が解決される。これが1つであります。つまり物事の価値を絶対的に上げる。もっと分かりやすく言いますと、先程ご挨拶の言葉にありました通り、誰からも歓迎される。どう考えても従来のバスよりノンステップバスの方がいいというようなタイプのものですね、これは技術的なブレイクスルーだと思うのですが、それによって物事が解決され皆の生活が全体として上がる。こういうものです。恐らくノンステップバスは、間違いなくそういうものだと思うんですね。唯一の恐らく問題が、先程ちょっとありました価格の問題ですね。これは繰り返しになりますけれど、この線に乗っかった時に、自ずから解決されていく問題だろうというふうに私は考えます。

 

 

 

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