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はじめに

 

本報告書は、平成10年11月6日と12月9日に開催された「乗り降りらくらくバス普及セミナー」の講演内容をとりまとめるとともに、屋外でのバス・福祉車輌の展示風景等を紹介したものである。

現在、我が国では、高齢化及び障害者の自立と社会参加の進展に伴い、これらの移動制約者を含む全ての人々が快適に利用できる交通システムの整備が、重要かつ緊急の課題となっている。

最も身近な公共交通機関の一つである路線バスにおいても、こうした社会的要請に対応するべく様々な方策が講じられてきたが、こうした中、平成9年3月に我が国で初めて登場したノンステップバスは、以後約2年を経て、徐々に全国の各地域で導入されつつある段階である。

このノンステップバスは、従来のリフト付きバスのように車いす使用者だけを対象としたものではなく、高齢者をはじめとするその他の移動制約者、更には健常者にとっても大変利用しやすい、いわゆるユニバーサルデザインとなっている点が大きな特徴である。

ヨーロッパでは15年ほど前から導入が始まり、普及が進んでいるのに対し、我が国では導入のテンポが遅いうえ、地域により差があり、またユニバーサルデザインや実際の効用についても十分には理解されていないようである。

こうした状況を踏まえ、ノンステップバスに対する認識を一層深めるべく、昨年に引き続き「乗り降りらくらくバス普及セミナー」を企画した次第である。

セミナーでは、関係各方面から強い関心が示され、相応に所期の目的を達したものと思われる。

セミナーの開催にあたっては、運輸省・日本財団をはじめとする関係各方面の方々の多大なるご協力を頂いた。ここに改めて厚く感謝の意を表する次第である。

これを機に、ノンステップバスに関する認識が少しでも深まり、その普及促進の一助となると共に、バス事業の活性化に些かなりとも役に立てれば、幸甚である。

 

平成11年3月

 

交通エコロジー・モビリティ財団

会長 大庭浩

 

 

 

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