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はじめに

海洋情報研究センターが、日本財団の援助のもとに(財)日本水路協会の中に設立されて、ほぼ2年が経過しました。初年度の1997年(平成9年度)から水温・塩分の品質管理ソフトの開発を手がけ、その中で開発された現場用海洋データ品質管理ソフトは国際的にも高い評価を得ることができ、属性データ(メタデータ)の設計についても基本的な調査・概念設計を行ったが、それ以上に計算機の導入・インターネット等通信施設の整備等のシステム整備に、また日本海洋データセンター(JODC)保有のデータセット一部移管等の基盤整備により多くの努力を払うこととなり、そのため、センターの年報あるいは活動要覧を作成することは見送らざるを得なかった。しかし、平成10年度に入り予定の研究スタッフも揃い、所長を含めて6名の態勢となり、基盤整備・水温等品質管理と処理・属性データの具体的設計と付加作業の継続的な作業の他に、水深データの品質管理ソフトの開発・水温等の統計処理・データセット設計表示ソフトの開発等新規の作業も順調に進めることができた。また、国際協力としては米国・カナダ・オーストラリアの国立海洋データセンター、米国国立地球物理研究センター、さらには国際機関であるPICESのデータ管理委員会(TCODE)やマレーシア工科大学等との情報・技術の交換を活発に行うと共に、各種の国際会議に出席し成果を報告すると共に情報収集にあたってきた。国際活動の一環としては、国際的な要請もあり、上記現場用海洋データ品質管理ソフトの英語版の作成も行った。また普及啓蒙活動としては、平成9年度における新潟市における非公式な講演会を含め、センターが主体となって3回の一般対象の普及講演会を開催すると共に、インターネットのホームページを通しての啓蒙活動、幾つかの出版物(CD-ROM形態を含む)を発行してきた。これらの日本財団の補助事業「海洋データ研究」にかかわる研究・開発事業の他にも、科学技術庁の科学技術振興調整費「北太西洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」の一環である、「高精度海洋データ整備のための品質管理手法の研究」の委託調査研究を実施してきており、また、社団法人全日本トラック協会の受託事業「二酸化炭素の実態把握に関する調査研究」を平成10年度に実施した。

このように、海洋情報研究センターの活動も多岐にわたり、また、かなりの成果を上げてきていることから、センターとして正確な活動記録、研究事業の成果を年報あるいは活動要覧として纏めていく必要があると考えた次第である。昨年度に活動要覧を纏めることができなかったので、この第1号は1997年(平成9年)の4月から1998年(平成10年)の12月までの活動を合わせて報告させていただくこととした。また、活動要覧としては便宜上各年度に発行するのではなく、今後とも暦年にしたがって発行することを計画している。また、可能な限り事務的な表現を避け、MIRCの活動に関心を示される研究者や海洋データ・情報のユーザーに読んでいただけるように心掛けたつもりである。

1999年2月20日

海洋情報技術センター所長

永田豊

 

 

 

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