日本財団 図書館


海洋情報研究センター(MIRC)の概要

 

1.設立目的

近年、海洋の開発利用が活発化する一方、地球環境問題の重要性が認識され、地球環境に大きな影響を持つ海洋の気候と機能の解明が急務とされている。これらの海洋活動・研究に関連して信頼性の高い高品質の海洋情報・データの準則・的確な提供が要請されている。また、海洋環境を保全し、将来にわたって人類と海洋の共生を図るためには、科学的な海洋知識の普及・啓蒙が必要とされる。さらに、地球規模の海洋環境保全のための研究活動等は各国が協力して国際的な枠組みのもとで行わなければならず、特に発展途上国における海洋データ管理者の養成の支援は欠くことのできないものである。

このことを踏まえて、海洋情報研究センター(MIRC)は、日本財団のご支援を受け(財)日本水路協会の一組織として設立された。MIRCは海洋データ・情報に関する専門知識を有する専従者を擁し、データ・情報を管理するに十分な設備を保有することにより、日本海洋データセンター(JODC)が保有する海洋データの品質管理、加工及びそれらの迅速、的確な提供を行うことを目的とする。また、このような活動に必要とされる研究活動を実施する。さらに、種々のデータプロダクトを利用して海洋の実態や機能について科学的に分かりやすい啓蒙活動を行うと共に、地球環境に関する研究や情報の整備について国際的な活動を行い、研究情報を含めた地球規模の海洋情報の整備に寄与することをもくろんでいる。図1にMIRCの役割を模式的に示す。

 

2.JODCとの協力関係

海洋データに関連したデータ管理機関として、主としてリアルタイムベースの業務を扱う機関として、気象庁(天気予報等の業務に関連)、漁業情報センター(漁業への応用が中心)等がある。また、ディレードモードのデータ・情報を扱う日本海洋データセンター(JODC:海上保安庁水路部内)がある。海洋情報研究センターはディレードモードあるいは歴史的データを主な対象としており、JODCと密接な協力のもとで活動していくことを考えている。JODCとの関係、協力態勢について若干の説明を加えておこう。

JODCは、海洋調査機関等が観測したデータの二次、三次利用の促進を目的に設立された我が国の総合海洋データバンクであり、またUNESCOの推進する国際海洋データ・情報交換システム(JODE)の窓口としての役割を担っている。しかし、最近ますます高度化し、多様化する一般からのニーズに十分に、また木目細かく答えることは、官業という制約もあり、非常に難しくなりつつある。MIRCの設立は、この様な実状にかんがみ、JODCの仕事を補完し支援することを目的としており、その仕事は決してJODCの役割を犯すものではない。MIRCは研究機関として、海洋データ・情報の管理に必要な、高度の品質管理プログラムの設計等をその仕事としており、JODCのシステムに適用可能なプログラムが完成次第、そのノウハウをJODCに還元して行く。データそのものの一般的な収集と基礎的な管理はJODCの役割である。もちろん、研究段階で試験的に行われた品質管理成果や別個に収集されたデータはJODCに送られ、その保有するデータの品質向上に貢献するが、MIRCは系統的なデータ収集作業は行わない。また、多様化する一般ユーザーの要求に答えて高度のデータプロダクトの作成はMIRCが受託することになる。このような目的のために、JODCとMIRCはそのデータベースを原則として共用することになる。このような協力関係を維持するため、JODCとMIRCは頻繁な合同検討会を開いている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION