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地方行政組織及び地方自治制度に関する法律(改正案)

(1998年:抄訳)

 

第1章 総則

 

第1節 地方自治制度

 

第1条 本法は、地方自治制度と地方行政機関の組織と機能について規定する。

第2条(1)地方自治体の行政は、以下の諸原則を基礎に組織され、機能する。それら諸原則とは、地方自治、公共サーヴィスの非中央集権化と分権化の原則、地方公共機関の適格性と責任、合法性、行政機構間の協力と団結、地方の重大課題の解決に際して住民投票(レフェレンダム)を含む市民との協議である。

(2)(1)項で定められた諸原則の適用は、民族国家、単一国家、不可分の国家というルーマニア国家の特徴に抵触してはならない。

第3条(1)地方自治とは、地方行政機関が、その名においてかつその責任において、公的問題の重要な部分を、地方共同体の利益のために、法の定める範囲内で、解決し管理する権利及び実際の能力を言う。

(2)この権利は、普通、平等、直接、秘密、自由意志に基づく選挙を通じて選出された地方行政機関であるところの、地方議会と首吉長、及び県議会によって実施される。

(3)(2)項の規定は、市民集会、レフェレンダム、あるいはその他の公的事項への市民のあらゆる形態の直接参加への訴えに、抵触するものではない。

(4)地方集団とは、地方自治体のすべての住民のことを言う。

第4条(1)地方自治は行政のみに限定され、それは法律に基づいて、また法律の定める範囲内において執行される。

(2)地方自治は、機能、権限、任務、及び、各々法律に従ってコミューン、町ないし県に所属する資源の管理にまで及ぶ。

第5条(1)地方行政機構に付与された権限は、一般には、完全且つ排他的でなければならない。地方行政機関の権限と任務は、法律によってのみ定められる。同権限と任務は、法律に定められた場合を除いて、その他の中央機関や地方機関によって制限され得ない。

(2)地方自治は地方行政機関に対して、権限から除外されていないすべての分野において、あるいは他の公共機関の権限の中に排他的に与えられていないすべての分野において、法律の範囲内において、イニシアティヴをとる権利を授与する。

第6条(1)コミューン及び町の行政機関と県レベルの行政機関との関係は、県全体の問題解決における、自治、合法性、責任、協力、団結の諸原則を基礎とする。

(2)地方行政機関と県議会との関係、及び地方議会と首長との関係には、従属関係はない。

第7条(1)法律によって定められた権限と任務の行使は、一般には、市民に最も近い行政機関が行う。

(2)(1)項に定められたもの以外のその他の機関の権限及び任務の確定に際しては、任務の大きさや性格、さらには効率と能率の必要性が、考慮されねばならない。

(3)中央行政機関が自己の排他的な権限領域以外の分野に干渉できるのは、行為の諸目的がその規模ないし効果故に、地方行政機関によって実現され得ない場合に限って、またそれら地方機関の要請があった場合に限られる。

(4)中央行政機関は、公共サーヴィスの非中央集権化を行ったり新しい公共サーヴィスを創設する際、責任を全うするために必要な適切な財政手段を確保することなく、地方行政機関の責任を確定したり、押しつけることはできない。

第8条 中央行政機関は、地方行政機関に直接関連するあらゆる諸問題について、それらを決定する前に十分な時間的余裕をもって、かつ適切に、地方行政機構と協議する。

第9条 国家経済政策において、地方行政機関は権限の行使にあたって自由に処理できる、十分な資産と固有の財源を持つ権利を有する。地方行政機関の財源は、法律に定められる権限及び責任と釣り合いのとれたものでなければならない。

第10条 コミューン、町及び県の財政は、法律の諸条件において、かつ地方自治原則に則って、管理されねばならない。

第11条 地方行政機関は、権限を行使するにあたって、法律の諸条件のなかで、国内外の地方行政機関と協力し、連合する権利を有するとともに、共通の利益を保護し促進するために、地方行政機関の国内的協会や国際的協会に加盟する権利を有する。

第12条 地方行政諸機関は、法律の条件の中で、連合することができるし、また地域協力協定を締結することができる。

第13条(1)国境地帯の地方自治体の地方行政機関は、法律の諸条件の中で、近隣諸国の地方行政機関との間で、国境域協力協定を締結することができる。

 

 

 

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