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選挙が正当に行われたか否かは、議員の中から互選で選出される3〜7名で構成される監査委員会が行う。選挙法違反が認められたとき、監査委員会は選挙の違法性を議会に報告し、議会は過半数をもって合法性ないし違法性の判断を下す。そこでは違法性が審議されている候補者に投票権はない(旧地行法第17条)。ただし、1996年の法律改正で、選挙の合法性ないし違法性に関する議会の決定に対し、不服がある場合は行政裁判所に訴える可能性が開かれることとなった(現行地行法第17条第6項)。現政府の地行法改正案もこれを踏襲している。

 

イ 市長・町長・コミューン長の選挙

 

首長選挙候補資格者は、議員と同じく23歳以上の、立候補選挙区に住む者に限られる(地方選挙法第1条)。ただし、ブカレスト市区長候補者は、必ずしも立候補する区に住む必要はなく、ブカレスト市在住であれば足りる(同法第4条第3項)。首長への立候補は基礎自治体議会の議員の場合と同じように、政党毎ないし政党連合別のリストに基づいて行われる(同法第6条)。無所属候補は立候補する選挙区有権者の1%以上の推薦が必要であるが、最低でも150名の推薦が要求される。候補者は1つの議員ポスト及び1つの首長ポストに立候補できる(同法第6条)。したがって、基礎自治体議会議員及び首長選挙に同時に立候補できることになる(同法同条)。

首長選挙では、投票数の過半数を得票した候補者が当選する。しかし、どの候補も過半数を得られなかった場合には、2週間以内に上位2候補者の間で決戦投票が行われ、多く得票した者が当選者となる(同法第78条/同旧法第67条)。

コミューン及び町には各々1名ずつの副首長ポストが、県庁所在地の市には2名の副首長ポストが設けられる。副首長は、議員の中から互選で、過半数の秘密投票をもって選出されるが、選出された後も議員資格は持ち続ける(同法第47条)。なお、県知事及びブカレスト市知事は、選挙ではなく政府によって任命される(憲法第122条第1項及び地行法第96条)。

 

ウ 議員及び首長・副首長の兼職禁止

 

地方選挙法は、同一人物が基礎自治体議会議員及び首長の双方に同時に立候補することを認めているが、双方とも当選した場合、どちらかを選択しなければならない。ルーマニアでは議員の兼職は広範囲にわたって制限され、例えば、議員は知事、副知事、議員が属するコミューン、町、市、県議会、県の公務員、それらの専門機関の幹部、地方自治体の首長、上院議員、下院議員、大統領補佐官、閣僚、さらには、公団幹部との兼職が禁止されている(現行地行法第16条/同改正案第30条)。

 

 

 

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