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陸上では石炭紀に大量の木質の樹木が繁茂するが、セルロースを分解する微生物の進化のタイムラグか、あるいは水中に没して還元性の環境に置かれたことからこれらが腐敗せずに堆積し、膨大な量の石炭として固定される。こうして二酸化炭素が固定されて酸素が排出された結果今日の大気成分が形成された。そこで、過去数億年かけて固定された二酸化炭素を、化石燃料の消費や石灰岩の消費(セメント製造など)によって大気中に「解放」すると、最終的には太古の地球大気のように高濃度の二酸化炭素の環境に近づくこととなる。しかし、太古には存在しなかった海洋と海洋微生物の働きにより、太古の状態にまで戻ることはない。」

 

イ フロン

 

二酸化炭素以外では、代表的な温室効果ガスには、オゾン・ホールの原因物質であるフロン、メタン、亜酸化窒素などがある。中でもフロンやメタンは、温室効果と言う意味では二酸化炭素に比べてはるかに大きな影響を及ぼす。

このうち、フロンに関して、先進国では既に影響の大きなフロン11やフロン12の製造、使用を禁止、比較的影響の少ない代替フロンも将来的には使用禁止の方針であるが、途上国はこの点について合意に至っていない。

この背景には、温暖化もきることながら、おおむね高緯度にある先進諸国では、低緯度にある途上国に比べてフロンによるオゾン・ホール(その結果として地表に届く紫外線の増加)による被害を受けやすく、より敏感になっているということもある。さらに、地球レベルでフロンの削減の枠組みを決めたモントリオール議定書の策定にあたり、タイミングよく人工衛星による南極のオゾン・ホールの情報(北半球の情報は東西冷戦の軍事的事情から研究者に公開されていなかった)を公開したのは、フロン製造の最大手の多国籍化学企業のフロン製造特許が切れて、代替フロンの開発が軌道に乗るタイミングを見計らってなされたとされており、ここにおいても純粋な環境問題に加えて各国の利害と思惑が交錯している様子がうかがえる。

 

 

 

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