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運輸省海上技術安全局安全基準課

 

1. はじめに

 

船舶安全法第1条の規定により、日本船舶は同法によりその堪航性を保持し、かつ、人命の安全を保持するために必要な施設をなさなければこれを航行の用に供することができないこととされている。この必要な施設に関する基準は、同法第2条第1項の規定に基づき運輸省令等に規定されている。

このうち、船体構造に関する現行の規則は、昭和15年に制定された鋼船構造規程及び昭和33年に制定された木船構造規則があるが、これらの規則、特に鋼船構造規程は、戦中・戦後の造船技術が未成熟の時期にその発展を支える一定の役割を果たしたが、その後の技術革新の成果が十分に反映されず、現在の船舶の構造設計法や船舶の構造との整合が必ずしもとれていないのが現状である。また、海上人命安全条約(SOLAS条約)や海洋汚染防止条約(MARPOL条約)による規制が複雑化、細分化しているため、現行の規則の体系では十分な機能を果たすことができなくなってきている。このため、船舶の構造基準を全面的に見直す必要が生じているところである。

このような背景の中、(社)日本造船研究協会第40基準研究部会WG1において「鋼船の構造基準の見直しに関する調査研究」が平成6年度から4年計画で行われ、その成果として運輸省において、本年3月31日、鋼船構造規程及び木船構造規則を廃止し、船舶の構造基準を定める新省令「船舶構造規則」(平成10年運輸省令第16号)を制定、公布するに至った。本稿では、この概要について述べる。

 

 

 

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