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(3)造船設計と生産技術のシステム化

造船設計の分野では1970年頃よりCADが普及し、また、構造設計にFEM(Finite Element Method)が活用されるようになった。生産技術の分野では1960年代中頃から数値制御による切断(NC切断)を始めとしたシステム化が始まった。1980年代後半から設計と製造とのシステムの一元化が模索され、CIM(Computer Integrated Manufacturing)の構築に向けた努力が続いている。

構造設計の分野においては、FEMの出現によりDesign by ruleからDesign by analysisに移り変わり、性能分野でもCFD(Computational Fluid Dy-namics)の発展により、模型実験の一部を数値シミュレーションに置き換えることも可能になりつつある。また、CADは単に製図作業をコンピュータに代行させるものであったが、CIMの出現により製造方法を視野にいれた設計が実現しつつある。

現在では造船設計とは、想定される条件のもとで機能要件を満たす船舶の構造を表現するだけでなく、最適な製造方法や就航後の機能などを保証しながら船舶を仮想的に構築することであるとの認識に変わりつつある。CAE(Computer Added Engineering) やCIM等をシステム化することによって、船型計画、配置計画、構造計画、および製造方法のシミュレーションを行い、より合理的な設計に寄与するとともに、就航後の最適運航、寿命、環境汚染、保全、償却等のシミュレーションも行えるような研究開発が期待される。

 

(4)他分野のSBD

システムの設計・開発におけるシミュレーションの典型は宇宙開発計画にあり、NASAや米軍の開発計画部門でSBDのあり方や有効性が検討されている。

SBDは自動車、航空機、電機システム等の開発でCAEの発展型として動的特性や性能の検討に使用されている。プラントや電子回路、システムのオペレーションの分野では、シミュレーションにより配置、シーケンス、機能がチェックされ設計に反映されている。住宅等の居住性、機能性をチェックする Virtual Realityも有名であるが、建築分野では3次元画像により、配置や色彩等の顧客ニーズの確認・説明用として広く定着している。また、自動車の組立ラインの作業員への指示や訓練でシミュレーションが活用され、その結果が自動車の設計にフィードバックされた例もある。

 

 

 

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