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船舶の大型化

エンジン燃費の改善

エンジントータルシステム(コジェネレーション、コンパウンドシステム、ハイブリッドシステム)

推進抵抗の低減

推進機の効率向上(電気推進、ディーゼル・電気ハイブリッド)

回航時の低速化

輸送の合理化(資本系列間の融通、中間デポの適正化、デマンドサイドのコントロール)

このような分野の研究を各々数値目標を立てて遂行する。

一方、国際航路を走る船舶は関税線の外側で燃料を購入するので、一国の政策の影響外にある。日本籍船のみのコントロールは日本籍船の不利益をもたらすに過ぎない。しかし、世界の船舶から出されるCO2 の量は 112百万トン/年(炭素換算)で、これはイギリス一国の総CO2 排出量より小さくフランスのより多いというレベル(出展:前出)であり、先進国一国分の量に相当する。したがって、国際的コントロールが必要である。どのような方式が良いか、検討しなければならない。その際、技術的に可能なクリーンシップ船が設定できていれば、議論がし易くなる。

そこでCO2 排出量30%削減のクリーンシップ船を設計する。

その内訳は例えば、推進抵抗の削減で20%

エンジン燃費の改善で5%

推進機の効率向上で5%

で挑戦してみる。

(b)その他の課題に対しても次ぎのような目標を立ててはいかがか。

(i)NOx対策は 7g/kwh(≧2000rpm)+燃費 0%アップを目標にエンジンを開発するか、もしくはエマルジョン燃料や脱硝装置を含むエンジンシステムを開発する。

現在のMARPOL条約付属文書VIでは 9.8g/kwh(≧2000rpm)でこの30%減の数字で、かつ燃費が悪くならないという条件である。

(ii)VOCについては、例として溶剤不要の塗料開発や、海洋環境で使用できる水溶性塗料の開発を挙げる。ただし、高価では実用的でないことに留意する。 ベンゼン荷役については、当面暴露時間管理可能性を追及する。

(iii)廃棄物は有害廃棄物ゼロという目標を立てる。その1例としてプラスチック類の焼却なしの運航実現、ないしはプラスチック類の小型高温焼却炉の開発がある。

(iv)石油汚染防護では波浪中(最大波高 4〜6m)の回収技術を挙げる。また、海洋での散布に懸念が残るが、船体付着油類の洗浄用にバイオ系油類分解剤の開発ないし安全検査技術の確立が追及されて良い。

(v)船底塗料(有機スズ)については、代替TBTOの寿命2倍化を目標とする。これは低コスト化の1方法である。

(vi)リサイクルは解撤実態の調査団を海外に派遣し、データ取得について国際共同研究をするとともに、量産型の小型舟艇では自動車方式のリサイクル設計を指向する。

(2)モニタリング

更に、年々変化している各企業・団体の環境対策の実態をモニターし、研究活動に役立てることも必要である。船舶用LCAの規格は現在作成中であるが、

それに準じたアンケート調査及び環境測定を毎年実施し、造船工業界、内航海運界、外航海運界その他各種団体の環境報告書として社会に公表すると良いのではないか。

 

 

 

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