日本財団 図書館


(2)NOx、SOx(光化学スモッグ)・・・・・・燃料、製造及び運航エネルギー ローカルな大気汚染をもたらすと共に、酸性雨などの地球規模の環境破壊をもたらす。海上からの排出に責任を持つとしても、他国の排出や陸上排出の影響の知識も得ていなければならない。1997年のIMO議定書によりディーゼル機関からのNOx、SOx排出量は2000年までにNOxは現状レベルの70%、SOxは現状レベルの50%を達成することとなっている。NOx排出量は将来、更に低いレベルの達成が義務付けられることも予想される。NOx対策としては、燃焼室・燃料噴射系の最適化によるエンジンの改良、EGR、エマルジョン燃料、水噴射、脱硝装置、燃料電池・水素エンジン等が考えられる。また、SOx対策としては、燃料油中に含有する硫黄分(S)を規制することとなり、上限値は 4.5%(バルト海等の特定海域は1.5%)となっている。

 

(3)フロン・ハロン等(オゾン層破壊物質)・・・・・・空調機・断熱材・消火剤等

ウィーン条約とモントリオール議定書により段階的削減の合意が得られた。早期削減やフロン回収努力が必要である。

 

(4)VOC(ベンゼン等揮発性石油ガス)・・・・・・タンカー荷役時、塗装作業時 ベンゼンは発ガン物質で、WHO、IMOで8時間平均1ppm暴露の基準が設けられている。タンカー荷役時・クリーンアップ時の船員及び周辺環境への影響が心配される。

 

(5)廃棄物・・・・・・製造・運航

造船所の廃棄物、運航上の廃棄物ともできるだけ少なくするよう設計段階から配慮しておかなければならない。運航上の廃棄物では、金属くず・ガラスくずの投棄や廃プラスチック類の焼却を禁止する。汚水処理分はMARPOL条約に準拠すべきである。

 

(6)危険物輸送(石油、オリマルジョン、核燃料、・・・)・・・・・・運航

石油・オリマルジョン(タールを界面活性剤で溶解させたもので、海洋汚染の場合一挙に拡散してしまう)・プルトニウム等の核燃料等の危険物による海洋汚染への対策を十分に取らねばならない。

 

(7)船底塗料(有機スズ)・・・・・・製造

生物に有害な有機スズ系船底塗料を日本では禁止されているが、外国では使用されている。国際条約で使用禁止する必要がある。

 

(8)リサイクル・・・・・・製造

解体分別処理・有害ゴミ処理・再利用処理等、解体後を考慮した設計を行うと良い。現在大型船はほとんどインド等外国で解体が行われていてその実態の知識は乏しいが、環境保護のためフロン等有害物の回収、再利用のできる設計等を検討し、将来国際条約に提案するか、あるいは提案された国際条約に対応できる技術を培うという発想も必要ではないか。また、量産型の小型舟艇等では、自動車方式のリサイクル設計を指向する必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION