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平成10年度・調査検討結果の概要(詳しくは本文をご覧下さい。)

 

1.「船舶の環境負荷とリサイクル設計」

産業(造船・海運等)が、持続可能な経済社会システムのよきメンバーとして存在していくためには、それぞれの活動範囲での環境への影響調査、及び緩和対策等を行うことが求められている。

また、環境対応の技術競争力を備えていくためには、ISO・14000 等への対応はもとより、モーダルシフトへの対応を図るとともに、個々の環境関連技術についても、CO2 排出量30%減(抵抗減20%+燃費改善5%+推進機効率向上5%)のクリーンシップ船の開発等の具体的な目標を定めて研究開発を進める必要がある。

 

2.「船舶の安全とデザイン思想の見直し」

船舶も人間の使う「道具」の一つであり、それが運航上、人間にとって使い易いものであり、構造健全性を維持する上では、点検・補修等のし易いことなどが安全に取って重要と考える。

近年のヒューマンエラーに起因する事故の増加や、経験の少ない乗組員集団への運航環境の変化等を考慮すると、SR238「新しいフリートサポートシステムの研究」等の、最新の通信手段を駆使しつつ、「人間」と「機械」(船体、装置を含む)の関わり、「人間」と「操作・作業」(運航・保守を含む)の関係を検討し、安全システムを構築していく等、安全に関する設計思想の見直しが要請されている。

 

3.「Simulation Based Design(SBD)」

航空・宇宙・電子分野での設計・開発・訓練等のシミュレーション技術から、より生活に密着した分野まで、最近における情報技術の進展とも相俟って、SBDは多くの分野で活用されている。

船舶分野においても、FEMによる構造設計、CFDによる船型設計等、CIMによる建造、シミュレータによる運航評価、環境(油流出等)評価等に活用されている。

今後とも、SBD技術は進展すると思われるが、個々のシミュレーション技術の高度化、信頼性の向上を図るとともに、シナリオ設定の重要性、条件設定等に伴う限界、SBDの統合などの認識に基づき、研究資源を集中して進めることが肝要である。

 

 

 

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