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1] 通関予備審査制度の活用による事務作業の迅速化

・予備審査制度は、輸入貨物が日本の港に到着する以前に輸入申告書を税関に提出することによりあらかじめ審査を受けることができる制度であり、これを利用した場合、貨物の到着後の通関審査に要する時間を短縮することが可能となる。しかしながら、現在神戸港においては、当該制度は必ずしも積極的に活用されていないというのが実態である。

・このため、今後この制度を積極的に活用することによって港頭地区において行われる通関手続きの迅速化を図ると同時に、荷主等に対してもこの効果をPRすることにより、より一層の港頭地区の物流事業者の利用促進を図っていく必要がある。

 

2] 次期Sea-NACCSの導入による事務処理の効率化

・輸出入貨物を対象として、国際EDI標準(UN/EDIFACT)を採用し、一連の税関手続についてより一層のワンストップサービス、ペーパレス化を推進すること等を目的とした次期Sea-NACCSは、1999年度中に稼働することが予定されている。

・このシステムは、税関をはじめとする関係行政機関、金融機関、通関業者、保税業者、船会社等をオンラインで結び、従来のシステムよりも対象業務を大幅に拡大し、輸入では「外国貿易船入港から貨物の船卸し、輸入通関そして国内引取りまで」、輸出では「貨物の保税地域への搬入から輸出通関、船積み、出港まで」手続きが迅速に一貫して行えるよう、港湾における総合物流情報システムを目指して開発が進められているものである。

・荷主企業においても商品管理等の情報化、オンライン化が進んでいる現在の状況の下で、港湾物流事業者がこのシステムの運用の担い手となることに乗り遅れることは、港頭地区における貨物の素通り化を更に進めることに直結するものであり、早急なる対応が求められる。

・なお、このシステムの導入に当たっては、相当の初期投資がかさむ等の問題点も叫ばれているところであるが、港湾物流事業者にあっては、陸上のフォワーダー等に港湾物流の主導権を奪われないためにも、将来を見据えた対策として早急に対応する必要がある。

 

3] 企業内EDI化の促進による事務処理の効率化

・2]で述べた次期Sea-NACCSの導入に当たっては、これを最大限活用し、またその他の事務処理との二重入力を極力排除するためにも、港湾物流事業者が事務所、現場施設における企業内EDI化にも積極的に取り組む必要がある。

・このような情報化についても、相当の初期投資が必要であることや、貨物量が少ない場合かえって非効率となるケースもある等の指摘がなされているところであるが、港湾物流事業者が荷主企業との関係を今後とも維持し、これをより強固なものとしていくためには、在庫情報等荷主企業が有する物流情報に深く食い込むことが重要であり、その接続のための受け皿としても企業内EDI化への取り組みは必要である。

 

 

 

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