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7. 結言

 

本研究は、近年ヨーロッパで開発が盛んである1軸方式の台車について、目標を第三セクター鉄道を始めとする地方線区用軽量内燃動車、都市内交通用ライトレール車両などとし、我が国の実状に最適な1軸台車の構造を探求したものである。昨年度に行った世界各国の1軸台車の開発・実用化の動向および国内を含めた過去の開発の推移を調査した結果を基に、本年度に得られた成果は以下の通りである。

 

1) 1軸台車を設計・試作した。この台車について、室内荷重試験を行い、実用化に向けて十分な強度を有することを確認した。

2) 台上走行試験装置を用いて、試作した1軸台車の走行安定性試験を行った。その結果、剛性、けん引リンク、ダンパなどが走行安定性に与える影響を把握し、200km/hで安定走行できることを実証した。

3) 曲線走行を模擬できる台上走行試験装置を用いて、曲線通過試験を行った。試作した1軸台車の曲線通過特性を把握するとともに、台車条件、曲線条件が曲線通過性能に与える影響を確認した。その結果、半径120mの急曲線でも問題無く通過できることが明らかになった。

4) 昨年度に引き続き、理論解析を行った、さらに、上記試験との比較を行い、理論と試験の整合性が確認され、試験結果が妥当であること、今後の最適化などの検討において理論検討が有効な手段であることを示した。

以上の成果から、1軸台車の実用化の見通しが得られ、我が国の実状に最適な1軸台車の構造を探求することができた。さらに、次年度に予定されている本線走行試験を行うための試作台車の仕様・諸元を決定するとともに、最適化の道筋が求められた。

1軸台車は、経済的で高性能の鉄道車両として、都市交通や地方交通線のみならず、一般の鉄道車両への発展性が期待される。

 

 

 

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