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車両の左右方向の加速度応答の特性は、振動に対する暴露限界に従って、振動数とともに直線的に緩和される特性を持たせればよいことが知られる。

 

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図12 地上に想定した残存狂い

 

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図13 車両の左右所要特性

 

(5) むすび

車両と軌道の相互作用において、左右方向に関しては横動空間があり、蛇行動の問題もあり、その影響を直接論じられないことはよく知られているが、車両の安定は車両関係者により満足されることを前提に、車両が曲線で外軌レールに沿って走り、あるいは直線でも微少な左右車輪の径差により片側レールに沿って走るという、直接狂いの影響を受ける悪条件の場合を想定して解析した結果、以下のような結論を得た。

1] 通り狂いに対して車両応答を解析するモデルを得られた。

2] このモデルにより地上に残存を許される狂いの大きさを、振動の暴露限界に基づいて計算した結果、この大きさは、上下振動の場合に較べ、短波長で大きく緩和されることが明らかになった。

3] 一方長波長に関してはかなり厳しく、長波長管理が必要であると考えられた。

4] ヨーイングの影響に関して検討した結果5m以上25m程度まで通常軌道側が管理の対象としている波長領域で大きな影響があることが明らかにされた。

5] 前台車に較べて後台車で振動が大きくなるので、軌道の通り狂いに関してはこれを対象にすべきであると考えられた。

6] 断面モデルは、その狂いの限度に関する基本的な特性を与えるが、軌道狂いの管理で着目されてきた10m付近の狂いに関して緩和された値を与える。

7] 乗心地を満足するのに必要な車両加速度の左右方向応答特性は単調に周波数とともに緩和される性格のものであることが示された。

 

 

 

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