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線において柔支持(SS)の方が僅かに大きい。一方、輪軸操舵角は全体に剛支持(HH)の方が大きい。一般的に柔支持の方がフランジ非接触を仮定した曲線通過性能は向上するが、今回の条件ではその差は小さく、逆に、フランジ接触が前提の急曲線条件では、剛支持の方が横圧を下げる結果となっている。以上の事柄は、台上試験においても見られる傾向であり、この2つの条件では、HHの方が好ましいことになる。

3) 試験結果との比較

台上試験とは、条件が異なるために単純な比較は困難であるが、曲線旋回中の台車の挙動について、シミュレーション結果と台上試験結果を比較してみる。通常の曲線旋回を模擬している本シミュレーションと傾向が一致する台上条件は、R400より大きい半径のところでの横圧とQ/Pの変化傾向からみると、試番R15、R16(軌条輪角なし)に近く、発生横圧の値はR16(後尾)の方が近い。試番R15、R16では、R300もしくはR400位から半径が小さくなるほど、横圧が大きくなる傾向があるが、シミュレーションではR500から同様の傾向がある点が異なっている。

アタック角についても、傾向は試番R15、R16に近いものの、値はシミュレーションの方が大きい(R200で約3倍程度)。また、外軌と内軌を比較すると横圧は全体に内軌の方が大きいことは、実験でも見られる。

以上のように、試番R15、R16については、試験結果と本シミュレーションについて傾向の一致が見られる。横圧などの具体的数値については、シミュレーションの方が全般的に小さい値を取っているが、この理由としては、試験では1台車のみを回転させており、アタックアングルの与え方などの条件の違いの他、想定される車輪・レール間の摩擦係数が台上試験では大きいと考えられるなど、より厳しい条件設定になっていることによると考えられる。

 

(6) まとめ

1軸台車の曲線通過性能に関して、台上試験を実施した試作台車を想定した数値シミュレーションを行った。その結果、曲線半径による台車の旋回挙動の違い、台車の柔支持、剛支持の違いを明らかにした。さらに、計算とは多少異なる条件ではあるが、台上試験との比較を行った。試験と計算では傾向の一致がみられ、理論解析においても、台上試験で得られた1軸台車の曲線通過性能の特徴を示すことができた。よって、今後の台車の最適化の検討や、本線走行試験に際した性能評価について、理論検討による検討が有効であることが確認された。

 

 

 

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