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くなったことを意味している。この結果は今回の試作台車が速度200km/hまでの範囲では車体蛇行動の安定性が理論及び台上試験で確認されたことなるが、台上試験において軌道輪の回転が車体を引っ張る方向に作用していることが安定性を高める傾向にあるので、実車走行試験にて更に検討する必要がある。

次に、牽引装置が車端側の後尾台車と車体中央側の先頭台車となるType Cに対応する場合、理論解析では車体蛇行動が安定となる結果が得られているにも関わらず台上試験では多くの場合速度80〜100km/hで車体蛇行動が発生した。理論解析では限界速度は存在しないが、安定の程度、即ち、減衰の値が小さくなっていることに加え、前記のType Bとは逆に軌道輪の回転が車体を押す方向に作用することが安定性を悪くしていることも見逃せない。この点に関しても実車走行試験での検討項目と考える。

車体蛇行動の安定性に関しては、なお検討すべき事柄が残されたが、今年度の台上試験の結果より、一軸台車車両の最適設計の基礎となる技術理論を確かめることが出来たと考える。

 

(2) 非対称な質量及びばね、リンク支持台車の台車蛇行動

鉄道車両では車体蛇行動の発生を防止出来た場合、高速で発生する台車蛇行動の限界速度が問題となる。この台車蛇行動は車輪のフランジがレールに激しく衝突するため走行安全性からその安定性を十分検討しておかねばならない。そこで、一軸台車を図2に示すように輪軸と台車枠とが蛇行動については一体とみなし、車体は固定された状態にあるとして台車蛇行動の安定性について理論検討をした。この場合、台車枠の質量が輪軸蛇行運動に対して偏重心質量として作用し、走行方向によりその作用が異なることになる。

 

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図2 台車蛇行動安定解析モデル

 

 

 

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