輪フランジがレールと接触するため、輪軸の横変位量がほぼ一定となり、輪軸横変位によって得られ内外車輪径差もほぼ一定となる。この車輪径差が曲線通過に必要な径差より小さくなると、軸輪が曲線通過と逆方向にヨーイングをし始める。
一方、試験台車が後尾台車として曲線を通過するとき、台車構造に係わらず、曲線半径が300m以下にならないと外軌側横圧が急には増大しない(図48、図50と図52)。特に、軌条輪角を付与しないとき、300m以下の曲線では外軌側車輪に横圧がほとんど発生しない(図46と図52)。図72、図74及び図76の軌条輪に対する輪軸の横変位と車輪アタック角測定結果によると、半径300m以下の曲線において曲線半径が小さくなるに従って輪軸が徐々に外軌側へ変位するが、車輪にアタック角がほとんど発生しない。曲線半径が300m以下になると輪軸横変位がようやく増大しなくなり、すなわち、外軌側車輪フランジがレールと接触し、輪軸も急に曲線走行と逆の方向に操舵が始まる。その結果、曲線半径が300m以下になると外軌側横圧が急に増大し始める。このように、1軸台車の後尾台車(2軸ボギー台車の後尾軸位に相当)として走行するときの輪軸横変位及び急曲線での輪軸ヨーイング変位特徴は今まで経験してある2軸ボギー台車の後尾輪軸曲線通過時の特徴と明らかに異なる。
試験番号R-15(台車柔構造、先頭台車走行、軌条輪ヨー角付与無し)において、曲線半径が180m以下になると、外軌側横圧が一度下がる傾向に転じる(図51)。これは、曲線半径が180m以下になると、外軌側車輪とレールとの接触点が車輪踏面とフランジの2点接触からフランジ側1点接触に変わり、踏面接触点で走行するときと比べて外軌側車輪の走行径が急に大きくなり、内外車輪径差が増大し、輪軸が操舵した結果である。この分析は図75の車輪/軌条輪間相対変位測定結果により裏付けられている。
各曲線の均衡カント時の外軌側横圧と比べて、超過遠心時の横圧は400から600kgfほど高くなっている。これは超過遠心時に荷重枠に付与した超過遠心力相当横方向の力(約600kgf)が外軌側車輪によって負担された結果である。
台上試験にて計測された輸重と横圧に基づいた脱線係数のほとんどは脱線の安全判断目安値の0.8を超えていない。また、剛構造と柔構造台車間の横圧の出方にほとんど差が見られなかった。