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6.2.7 曲線通過性試験結果

表13に曲線通過性試験結果の要約を示す。図37〜図44に各試験条件の曲線半径400m時の内外軌側輪重・横圧などの記録波形を示す。図45〜図60に曲線通過試験に計測された内外軌側輪重・横圧及びそれらに基づいて算出された脱線係数を示し、図61〜図68に曲線半径と輪軸操舵角・台車ボギー角及び車体ヨー角との関係を示す。また、輪軸の操舵特性を評価するために計画された車輪アタック角及び車輪横変位計測項目の測定結果を図69〜図76に示す。

曲線通過試験の各車両構造条件において、曲線の曲率に応じた軌条輪角付与と軌条輪角付与しない走行条件を設けた。今までの2軸ボギー台車の理論解析及び現車測定経験から、曲線区間において先頭輪軸が曲線外軌側へ横変位と同時にレールに対して大きなヨー角を有するが後尾輪軸がほとんど軌道の中立位置(横変位、ヨー共に行わない)にあることが分かっている。軌条輪角付与は2軸ボギー台車の先頭輪軸条件を、軌条輪角付与しない場合は2軸ボギー台車の後尾輪軸条件を模擬するためである。

図の中に各曲線半径に対してそれぞれ「曲線入口」、「均衡カント」と「超過遠心」の3つのデータがあるが、これらのデータはそれぞれ直線走行状態から曲線走行状態に移行するときの輪重・横圧及び変位の最大値、定常曲線走行状態に入ったときのこれら測点の平均値及び車体に横力を付加したとき(0.1gの超過遠心に等しい)のこれら測点の平均値を示す。

これらの図から分かるように、試験台車が先頭台車として曲線を通過するとき台車構造(剛構造又は柔構造)と軌条輪ヨー角付与の有無に係わらず、曲線半径が400m以下になると西側(外軌)横圧が急激に増えていく(図47図49図51)。これは、曲線半径が400m以下になると試験台車の車輪に用いられた円錐踏面が50kgNレール(軌条輪の頭頂面形状)と接触するときに得られる内外軌側車輪径差が曲線通過に必要な車輪径差より小さくなり、車輪踏面勾配による輪軸自然操舵ができなくなり、外軌車輪のフランジがレールと接触すると同時に、曲線通過に必要な輪軸ヨー角と逆方向に車輪/レール間にアタック角が発生し、横方向のクリープ力が発生し始めた結果である。車輪/軌条輪間相対変位(横変位と車輪アタック角)測定結果がこの分析を裏付けている(図71図73図75)。

相対変位測定結果によると、試験台車が先頭台車として走行するとき、1200m位の緩やかな曲線から輪軸が既に大きく外軌レール側へ横変位をしている。半径400m以上の曲線において、輪軸横変位と車輪踏面勾配から得られる内外軌側車輪径差が曲線通過に必要な車輪径差以上の値であるため、輪軸が曲線走行方向へ操舵を行う。しかし、操舵角(アタック角)が非常に小さいため、操舵角の横クリープが起因とする車輪/レール間の横クリープ力(=横圧)が僅かしか発生しない。一方、曲線半径が400m以下になると、外軌側車

 

 

 

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