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6.2. 1軸台車の試験台上試験

平成10年度は、前年度に得られた1軸台車の基本設計に基づく試験台車について、台車試験機による室内回転試験を行い、走行安定性に及ぼす台車構成要素の影響を調べ、理論解析結果の検証と最適特性値の把握を行う。

 

6.2.1 台車試験設備

台車回転試験機による室内擬似走行試験は、レールの踏面形状を持った軌条輪を回転して、その上にのせた台車の輪軸を回転させ、台車の走行安定性・即ち蛇行動などを発生せずに、どの位の速度まで台車が走行に耐えるかを調べるものである。これは、新しく開発した台車をその本線走行に先立って安定性を確認するために不可欠である。

しかし、軌条輪と車輪の接触状況は、当然実際のレールと車輪の場合とは異なり、クリープ係数も異なる上に、輪軸がヨー動きをすると有効踏面勾配も変化し、又軌条輪の頂点からのずれによって接触だ円の形状も変わるなど、不確定な要素も多い。

更に、車体に相当する荷重枠を1両の半分(半車体)にして、1台車のみを軌条輪にのせて試験する場合、通常球ジョイントにより荷重枠を地上に対して支持するが、これが台車の左右動きによって振子機構を構成し、軌条輪の回転方向によって正振子あるいは、逆振子を形成し、これらが輪軸の幾何学的蛇行動と共振し、車体ローリングを誘発して、試験が続行出来なくなるという留意すべき問題点がある。

今回の、1軸台車では、けん引装置として前後非対象となる1本リンク方式を採用したので、これの持つ方向性の有無を明らかにする必要がある。従って、この上更に前述の半車体モデルに起因する方向性の影響を持ち込むことは出来る丈避けたいと考え、荷重枠の他端を地上に固定したもう1台の同一台車で支持する擬似1両モデル方式で今回の試験を行うこととした。

又、直線路での走行安定性だけでなく、曲線通過性についても室内試験で確かめ、台車構造や支持剛性の影響の有無に関するデータを得るために、国内唯一の擬似曲線試験が可能な、運輸省交通安全公害研究所の車両構造物試験設備を使用することとした。

図8に試験設備の図を、試験設備の諸元を表3に示す。

この1軸台車の試験では、荷重枠を継ぎ足して延長し、固定軸距5mの擬似1車体を作成した。半車体荷重枠用の球頭支持台を撤去して、1軸台車固定台を据えつけ(写真1、2)、片側の軌条輪上の試験用1軸台車(写真3、4)との間に擬似1車体荷重枠を渡して、擬似1両モデルを構成した。フロアレベルの違いから、台車と車体との取付面には412mmの段差が生じている。(図9)。1軸台車のリンク式けん引装置は、車体の両先端から車体中心向きに配置されている。

 

 

 

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