日本財団 図書館


5. 開発結果の概要

 

(1) 昨年度に行なった世界各国の1軸台車の開発・実用化の動向・国内を含めた過去の開発の推移を調査した結果から、我国における実用化に適した1軸台車の構造・仕様を、理論解析の結果を踏まえて具体化的に示した。

 

(2) これに基づいて1軸台車を設計・試作し、構造体についての室内荷重試験を行なって、実用化に向けて十分な強度を有することを確かめた。

 

(3) 試作した1軸試験台車について、台上走行試験装置を用いて走行安定性の試験を行ない、枕ばねの横剛性の影響、けん引リンク支点の剛性の影響、左右動ダンパの効果、ヨーダンパの効果を調査し、更に前後に非対称な1軸台車の走行安定性に対する方向性の有無についても調査研究を行なった。

その結果、ヨーダンパを付ければ時速200km/hで安定に走行出来ることが実証され、ヨーダンパがフェイルした場合を想定しても、時速160km/hまでは十分安全に走行が可能であることが判った。

 

(4) 同じく台上走行試験装置を用いて、曲線走行を模擬した設定による試験を行ない、種々の半径を持つ曲線に於て1軸台車に発生する輪重・横圧・輪軸の横変位・操舵角等を曲線入口・均衡カント走行時、更にカントオーバーで走行する超過遠心力の影響を模擬した車体横方向引張力を与えた場合について、その影響を調査した。

その結果、半径120mの小曲線でも外軌横圧2.6tfと十分に小さく、安全に走行し得ることが明らかになった。

 

(5) 昨年度の解析結果を更に拡張し、台上試験に対するシミュレーションを行なって、試験で得られた結果との対比、理論との整合性を調査し、試験結果が妥当であることを確認した。

 

(6) 上記の試験結果及び理論解析から、1軸台車の実用化の見通しが得られ、来年度に予定されている実車走行試験に供する試験用1軸台草の仕様・諸元を決定することが出来た。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION