日本財団 図書館


4. 1999年2月の殺貝作業

 

事前にボホールには殺貝剤がないことが分かっていたため、1月下旬にオリエンタル・ミンドロに出張した獨協医科大学医動物学教室の大竹医師に依頼し、niclosamide 10kgをマニラまで運んで頂いてあったのを安羅岡がマニラからボホールまで持参した。大竹医師のご好意に感謝したい。

2月15、16、17および18日の4日間、臨時作業員4名を含む9名によってBunaos boggy, Omaguin seepage, Omaguin pockets II and III, Omaguin man-made canal, Bunaos palawan, Bunaos seepageおよびKasilion creekにおいて除草を徹底して行い、さらにOmaguin man-made canalに4kg、Bunaos palawanに3kg、Bunaos seepageに2kgのniclosamideを散布した。

 

5. 殺貝剤の供与について

 

1990年代になってボホールの住血吸虫症がほぼ完全にコントロールされ、さらに撲滅も可能かという状況になって、ボホールの住血吸虫症コントロールチームの小さなストアルームはniclosamideの20kg缶で一杯になった。保健省が異常なまでに力を入れているのがよくわかった。

ところが、最近はボホールヘの殺貝剤の補充は止まり、昨年はついに在庫ゼロとなった。最近取りざたされている新保健省長官の新構想による住血吸虫症対策の行政の変革が実施されれば、政府による今後の殺貝剤の購入は事実上停止してしまうおそれがあり、この点について財団のご配慮をお願いしたい。

 

6. 1998年のボホール島における住血吸虫感染状況調査結果

 

例年どおり、この島の本症流行8村落の住民9,762人について検便が行われ、9人(0.09%)の虫卵陽性者が検出された。この検査数は8村落の97%標的人口の88.3%に相当する。いぜんとしてごく少数ながら虫卵陽性例が出ているのは残念であるが、日本の甲府盆地でも陽性率が1%以下になったのは1951年、0.1%以下になったのは1972年であり、それがゼロになったのは1977年であったことを考え合わせれば無理からぬことであろう。さらに忍耐強く取り組んでゆきたいと思う。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION