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IV. ボホールにおける日本住血吸虫症撲滅プロジェクト

 

この島の住血吸虫症は1994年以来、毎年の新感染者数は数名に減少し、中間宿主貝もきわめて狭い範囲に散発的に発見されるのみという段階に至った。最近は新しい感染者が出たときはその周辺の水環境を入念に調査し、貝の生息が見られた場合はそこを除草した後、殺貝剤を散布するという作業を数回にわたって実施し、完全な貝の駆逐を目指している。

 

1. 1998年7月-8月の貝調査

 

7月31日と8月4日の2日間、昨年度に続いてSan RoqueとSan Vicenteの2村落におけるOmaguin palawan IIのseepages、pockets、man-made canalとBunaos palawan、Apao palawanとCanas boggy、Gaspar borry、Troceno boggyおよびKanggabok creekのコロニーとそれぞれの周辺のwater bodiesの貝生息の有無を調査した。その結果、Apao palawanの南側の湧水点に連なるBoncales boggyに少数(2.0 snails/hour/man)の貝が見られたが、その他には貝の生息は見られなかった。Bunaos palawanのパラワンが採石のために根こそぎ除去されていたのが特記される。採集された貝3個を圧砕検鏡したが、感染は認められなかった。フィリピンを襲ったエルニーニョが原因とされる7ヶ月におよぶ異常干ばつは中間宿主貝に対してかなりの影響を与えたと思われる。

 

2. 1998年8月の殺貝作業

 

なぜか保健省はボホールヘの殺貝剤の補給をしなかったため、niclosamideの在庫はなく、8月5日に200平方mのBoncales boggyでは臨時人夫4名を含む総勢10名による入念な除草作業のみを実施した。

 

3. 1999年2月の貝調査

 

2月4日、5日および12日の3日間、ボホール島の全貝コロニーについて貝生息の有無について調査したとその結果、Apao palawanに連なるman-made canalから1個の貝(0.6 snails/hr/man)が発見されたのみで、その他には貝の生存は見られなかった。この貝に住血吸虫の感染は見られなかった。

 

 

 

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