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自然の耳はうるさい中でも聞きたい音を聞き取る。選択的聴取という結果でしたが、SN比が悪くても聞き取れる。SN比が-5でも聞こえる、同じテストをやってみても、相当静かな環境にならないと難聴者は聞き取れない。この差が20くらいある。難聴者を取り囲む会話の環境は、20dBほど静かにしてやらなくてはならないという、このようなデータがあります。

 

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教室の騒音と音声のレベルの比較

 

そのように、例えば子どもの環境でいえば、国語の授業をやっている小学校での雑音が常にこれくらい漂っています。

この雑音の影に先生の声が隠れます。先生の声は消されてしまいます。先生が30センチで話すと、雑音の上のSN比が10とか15いく位。もし、子供が1.5mのところにいると、雑音の影に先生の声が隠れてしまうということになります。その意味で、教室の環境もうるさい。それで、補聴器を使う環境も重要です。

諸外国がどんな工夫を難聴者のためにしているか調べましたところ、3年前に、福祉用電波があるんです。聴覚障害者のために専用に使える電波がちやんとある。他の人が聴覚障害以外の目的に使えない。混信ができない、混信されない電波がアメリカにもドイツにもノルウェイにもある。

最後に日本でそんなものがあったかとあわてて運動を起こして、ようやく補聴器専用の周波数というのを2年前に郵政省から獲得しました。このことはあまり知られていませんが、この専用電波を難聴者が使うことが、諸外国とくらべてまだ未熟な電波で、もっと広げたいのですが、ユーザ自身がこれが必要だという訴えを起こし、どんなに有効に使っているか実証してくれないとなかなかさらに新しい運動がしにくい。専用電波が最近忘れられてきている。ここらへんも大きい課題です。ちなみに、日本の専用電波は、70メガヘルツ帯で、比較的きちっとした周波数で多くのチャンネルが捉えるようになっています。メーカーがこの電波を使って機器を作る意欲が薄い。ユーザー側の要求があまり聞こえないのも原因です。そんなことで、これから4名にそれぞれの立場でお話頂きます。

よろしくお願いします

 

 

 

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