日本財団 図書館


手術前の、両方の耳は同じように聞こえるわけではない。

よく聞こえていた方の平均の聴力110〜120デシベル程度です。

ここには、まったく聞こえないスケールアウトの人は含まれていません。音の感覚がない人も含まれています。

で、補聴器の効果があった子供が、16人中11人ですから、3分の2位は、何らかの音の感覚がわかっていたんですが、補聴器の装用域値、それがだいたい70〜90デシベル位、特に4キロヘルツ、これが93デシベルですので高音になるほど、音が十分に入らないという状況でした。

それが人工内耳をつけますと、装用域値は、45デシベル程度です。域値が一定している特徴があります。補聴器では、どうしても高音部分が入りにくいのですが人工内耳では 平均的に入るようになっています。

スライドお願いします。

子供さんの場合、耳が聞こえない場合言葉だけでなくて、それ以外の発達にもいろいろな影響が出て来ます。

これは津守式の発達輪郭表といいますが月齢に対してどの程度未熟かをみています。言語理解というのが、やはり悪いです。月齢が3歳でも 言語理解は1歳半程度と相対的に遅れて来ます。言葉を聞けないので言語の発達が遅れるのです。それ以外に、例えば、社会性、人とのコミュニケーションが遅れたり、それから、一般の日常の生活習慣、食事排泄に影響がでてきます。それが難聴の子供の特徴です。

スライドをお願いします。

人工内耳の手術の前に、どういうことが必要か、我々は、医者だけではなくて、言語療法士や、看護婦や、ろう学校、通園施設の先生の資料から十分検討して、全体的な会議を行って手術するかどうか決めています。

しかも、子供は自分では判断できませんから、そのような資料に基づいて両親に充分に説明して、理解を得られたら手術します。子供は病院に馴染んでいいただくことも大事です。

スタッフと遊んで心の交流をつけておきます。さきほどありましたように、心のリハビリテーションをしっかりしていただく。手術をしてサヨナラというわけにはゆきません。通園施設に、どのようにリハビリテーションしていただくか、体制と方針を手術前からきっちりつくっていく。

子どもの人工内耳のリハビリテーション

次のスライド。

リハビリテーションについては、後で、廣田栄子先生がシンポジウムで話されます。

ここでは詳しく言いませんが、原則で言いますと 非言語的コミュニケーションの確立これは、我々が言葉を使うのは、何かを伝えたいということです。

心の交流が無いのに言葉の「あ」「か」とかをつんでも心のたしにはなりません。

ですから、まず、コミュニケーション、心と心のやりとり、それを作るのが大前提です。その上でいろんな 遊びの中で言葉をとってもらう。これは、補聴器を使っている子供とまったく同じ。

ですから、一般の難聴児と人工内耳を使っている子供さんはリハビリテーションという点では、まったく同じ考えですすめてよいです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION