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また、長崎港ではシャーシの台数が不足しているために、迅速な国内輸送が行えないという指摘もある。さらに、長崎港では、初めて取り扱う品目の比率が高いことなどからやむを得ない面もあるが、通関に時間がかかるとの指摘もある。このため、必要なシャーシの確保や通関時間の短縮は、リードタイム短縮の1つの要因となりうる。

 

3]トランシップ

 

長崎港から直航航路がない場合に、釜山港などでのトランシップにより相手地域への輸送サービスを提供することについては、一部には貨物が行方不明にならないか不安がある、という意見もあるものの、それ自体は問題ないとする企業が多い。

ただし、前にも述べたように、国内輸送コストが相対的に低下する中で、最寄りの長崎港を利用して釜山港でトランシップするよりも、博多港や北九州港までの国内輸送コストを負担しても、直航航路を利用した方がトータルコストが削減される、というケースもある。

 

3]薫蒸施設や混載サービスなどの付帯サービス

 

種苗業者においては、長崎港は植物検疫の薫蒸施設が住民の反対で利用できないことが、長崎港を利用できない上つの要因であるとされている。

また、長崎港を利用している企業でも、混載サービスがないため、小ロットの貨物は北九州港など利用しているケースがある。

このような付帯サービスの提供も、長崎港利用の上つの条件となっている。

 

(7)長崎港において求められる取り組み

 

長崎港における航路網の充実のための取り組みとして、荷主の立場から寄せられた意見・アイディアを以下に整理する。

 

1]貿易業者の育成によるベースカーゴの確保

 

航路網充実にあたって長崎港周辺で発生・集中する貨物量が不足しているという点は、多くの荷主においても強く認識されている。現在、長崎港周辺にベースカーゴとなりうる貨物が少ない要因として、輸入品のバイヤーが少ないことがあるため、貿易業者の育成により貨物量を拡大させる必要があるとの意見が出されている。

 

2]港湾関連サービスの充実

 

先に述べたように、長崎港においては国内輸送のためのシャーシが不足していること、通関が迅速でないこと、倉庫施設が不足していることなどの問題点が指摘されており、こうした港湾関連サービスの充実により、荷主の使いやすい港湾としていくことが求められている。

また、このような港湾サービスの充実のためには、海貨業者間の競争の促進が必要との意見も示されている。

 

 

 

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