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2]情報システムを活用した自動車部品の海陸一貫輸送

九州に完成車工場を持つ自動車メーカーでは、部品メーカーの集積する関東(日産自動車)、中京(トヨタ自動車)から九州の工場に向けた自動車部品の輸送にRORO船を利用している。

その際、関東・中京側に集配(集荷)センターを設置し、部品メーカーはそこに納品し、センターから九州の工場までは完成車メーカーの責任で輸送する。集荷(集配)センターでは工場への納入時間帯毎にトレーラーに積載し、九州側の港湾に到着後トレーラーはそのまま待機して、納入時間帯に合わせて1台ずつ搬入する。このため、部品メーカーは集荷(集配)センターに納入するだけで、工場へのジャストインタイム納入が行われる。

トヨタ自動車の例では、次回の納入指示を記述した「かんばん」に相当する情報を、九州の工場から中京側の部品メーカーへ情報システムで送信している。

また、日産自動車の例では、輸送トラブルを防止するため、小口混載された容器単位毎に情報管理し、輸送中のトレーラーの位置まで把握できるようにしている。

 

(4) 物流情報化の推進方策

 

1]港湾利用手続のEDI化推進

1999年に導入が予定されている「港湾諸手続に係る情報システム」について、実験段階の導入を含め、九州地域の各港湾管理者において早急な導入を図る。さらに、同システムと国際物流にかかるSea-Naccs、POLINET等の情報システムとの連携の動向をみながら、これに迅速に対応し、海上輸送にかかる情報化を総合的に推進する。

2]海運業界における情報化の推進

港湾諸手続きのEDI化を契機として、海陸一貫輸送の中心的な担い手となる九州の内航海運事業者やフェリー事業者等における情報システムの導入を促進する。さらに、トラック事業における情報システムとの連携のあり方を検討しつつ、海陸一貫輸送のための情報ネットワーク構築に向けた素地を固めていく。

海運事業者の情報化を促進する手段として、業界団体等において、情報システム利用の研修会や先進事例の紹介などの普及・啓蒙活動を行う。

3]求貨・求車情報システムとの連携による海運の活用促進

中小トラック事業者が海運を利用しない要因の一つとして、定常的に帰り荷が確保できず、配送ルートが確定しないことがあげられるため、トラック事業の求貨・求車情報システム上において各航路の運航状況・予約状況等の情報を提供したり、オンライン上で海上輸送の予約を行えるようにすることにより、帰り荷の確保と同時に海上輸送の活用が検討できるようにする。

また、求貨・求車情報システムの取り扱う情報の範囲を、トラックによる陸上輸送貨物だけでなく、海上輸送の利用を想定したシャーシ、コンテナ等にまで拡大することにより、空シャーシ情報、空コンテナ情報と求貨情報のマッチングを行い、帰り荷を確保する海陸一貫輸送促進のための情報ネットワークを構築する。

関係行政機関においては、モーダルシフト促進策の一環として海陸の連携した情報化の促進を捉え、これを積極的に支援していくことが求められる。

 

 

 

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