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2. 物流構造の変革の方向性

 

(1) 荷主の物流ニーズの高度化

 

情報通信技術の発達や国際的な大競争時代の到来に伴い、企業経営の中で従来はあまり重視されなかった物流分野が競争力強化のための戦略的分野として位置づけられ、荷主の物流に対するニーズは極めて高度で多様なものとなっている。

総合物流施策大綱(1997年4月閣議決定)では、こうした変化について「生産分野では、在庫管理技術を極限まで進めたグローバルなジャスト・イン・タイムの調達が可能となりつつある。さらに、流通分野でも、従来の生産者サイドに立ったシステムから、消費者を起点として、小売、中間流通及び生産者の各機能を強化したシステムの構築が始まりつつある。」としている。

特に、近年の急速な情報化の進展を背景として、「サプライチェーンマネジメント」という考え方が注目を集めている。これは、「原材料調達、供給から最終顧客への商品納入までの業務領域(調達、購買、商品開発、生産、販売、物流など)を総合的に管理する一連の流れとして捉え、これを経営戦略と連動させて統合的・システム的に管理・構築する」という考え方である。将来の不確実性が高まる中で、情報化技術を活用して各業務領域の情報を共有化し、需要の変化に応じて俊敏に生産量や品目を調整するなど、在庫リスクや資産リスクを最小化するスピード経営を目指すものである。

こうした変化に伴い、物流分野においては、欠品をなくし、かつ在庫を最小化するため、一層の在庫管理の高度化が求められるとともに、輸送の迅速性・正確性も強く求められるようになる。さらに、このような高度な物流ニーズに対応する物流サービスを、より低コストで提供することが求められるようになっており、物流構造の変革が強く求められている。

 

(2) 荷主ニーズに対応した物流構造の変革

 

1]物流システム化の必要性

このような荷主の物流ニーズの高度化に対応するため、生産拠点→広域流通センター→地区流通センター→小売店といった一連の物流を最も効率的なシステムに再構築することが必要となる。

物流システム全体の見直しが求められる中で、これまで荷主が個別に事業者に発注していた物流業務を包括的に外部委託し、請け負った事業者が、荷主にとって最適な物流システムを設計し、その業務を遂行するという形態が進展している。これが「サードパーティロジスティクス(以下、3PL)」である。

3PLは、「経済構造の変革と創造のためのプログラム」(96年12月閣議決定)によれば、『荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務』と定義され、顧客の物流のすべてを第三者(サードバーティ)が請け負うものである。

 

 

 

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