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第6章 甑島地域における海上交通体系整備のあり方

 

第1節 甑島地域における海上交通体系整備についての課題

 

甑島住民アンケートによると、島内生活における不満要因としては「フェリー・高速船の便数が少ない」が69.9%と最も高い。ついで、「医療機関が近くにない」(51.9%)、「就職の場がない」(35.9%)と続く。また、充実を望む施策でも「海上交通体系整備」が42.2%とずば抜けて高い値となっている。

このように、島民の最大の要請は「海上交通体系の改善・充実」にある。

現行の旅客航路のダイヤでは、甑島から本土へ出かける際は、ほとんどの場合、宿泊を伴ったものとならざるを得ない。

航路利用者のアンケートでも、フェリー、高速船利用の不満点としては「運航本数が少ない」がもっとも多い。このほかに、「発着時間がよくない」「運賃が高い」「所要時間が長い」等が続いているが、やはり「便数」の少なさの問題が大きくクローズアップされている。

甑島地域における海上交通体系整備についての最大の課題は、「いかに旅客航路の便数を増やし利用者の利便性に配慮した効率的なダイヤが組めるか」であると言っても過言ではない。

つまり、前年度の調査委員会でも了承が得られ、さらに今年度実施した住民アンケート調査でも過半数の住民の支持を得たフェリーの1日2便体制の実現が、甑島住民の利便性を向上させるということである。

このように、旅客航路の改善・充実は、島民の足としての利便性の向上だけでなく、島外からの吸引力を高め、交流人日の増加をもたらし、島の活性化に大きく寄与するものであり、甑島の将来を見通した場合、早急に対応を図るべき喫緊の課題である。

航路改善は、寄港地集約に伴う抜港という事態を避けて通れないことから、抜港をする地区の住民に対する配慮のため、なかなか大きな変化をもたらす改善・充実策をとることができなかった。しかし、将来の長い時期にわたって現行の状態を続けるのは、島民全体の福祉の点から得策ではなく、この時期に改善・充実に向けて一歩踏み出した行動が期待される。

 

 

 

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