第2節 串木野・甑島旅客航路改善方策についての検討
上述したように、現行の串木野・甑島旅客航路については、利用者の利便性に配慮した効率的な運航体系の整備を図ることが求められている。またフェリー「こしき」のリプレースの時期が近まっていることを考慮すると、車の積み残しの解消めために車両航送能力アップも同時に検討を行うことが適切であると判断される。
本委員会では、本航路の改善策について、関係者を中心に検討を進めてきたが、それについて整理した。
なお、ここで提示する改善方策については、本調査結果を踏まえ、本航路の将来像を想定した案であり、本航路の改善策を具体化するにあたっては、本航路が生活航路として甑島住民の利便性を真に確保できるよう、地元4村の住民の意向を十分に踏まえ対応することが求められる。
(1) 改善方策についての考え方
1]寄港地集約化
甑島住民の強い要請である1日2便体制を実現し、鹿児島・串木野の日帰りを充分に可能とするための方策としては、現実的には船舶の「高速化」と「寄港地集約化」が考えられる。
「高速化」については、フェリーの場合、現在15.2ノットであるが、これを高速化すると現状の技術ではだいたい17ノットぐらいまでは燃費はあまり増加しないが、それ以上になると格段に増加し、現状の1.5倍〜2倍といったオーダーの増加となる。
このため、リプレースする船舶のスピードも、最高でも17ノット程度を想定せざるを得なくなり、そうなるとどうしても「寄港地集約化」の方法を考えざるを得ない。
2]船舶の大型化
住民のアンケートにもみられるように、フェリーの車両航送能力向上の要望は大きく、事実、車の積み残しも発生している。特に、フェリーの利用頻度の高い層では「車両が希望する便に積めないケースも多く発生している」と回答している。
車両航送能力のアップは、便数の増加でも達し得る。しかし、島民のフェリーの利用のパターンからすると、かなりの数は朝の便に集中するものと考えられる。このことから判断すると、やはり現状のフェリーの車両航送能力では不安が残る。
また、旅客も多客期には満員で乗れないことも多く、現状は各港ごとに乗船人員を割り当てることにより対応している。この各港ごとの乗船人員の割り当てについては、現状等を踏まえ船会社や地元村等で十分に協議、検討することが期待される。
以上のとおり、現状は、旅客、車両ともに積み残しが生じている状況であり、これらの積み残しの発生を防ぐためにも、フェリーの大型化も視野に入れて検討する必要がある。但し、船舶の大型化については費用が伴うものであり、また場合によっては、現状の港湾整備状況に適合しなくなる可能性も生じてくる。このため過大な大型化は避けなければならない。