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4.12.2 固定式双方向無線電話装置

固定式双方向無線電話に対する要件は、かなりの部分が持運び式双方向無線電話と共通であるので、主要な相違点のみをあげる。

(a) 固定式は船内での通信用には使用されない。

(b) 装置の構成は一体型でなくてもよく、送信機、受信機、空中線、プレストーク付きのマイクロホンとスピーカで構成されていればよい。

(c) 前項(4.12.1)の要件( (a)(b)(d) を除く。)のほか、別に生存艇で起こる衝撃と振動に耐えること、及び生存艇に容易に取付けができること、とされている。

 

4.13 極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置

極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置(衛星EPIRB:Emergency Position-Indicating Radio Beacon)は船舶に搭載される遭難通報設備で、遭難信号を発射する小形の送信機を内蔵している。(EPIRBの概念は<図 4.0.1>を参照。)

遭難信号の発射周波数は、衛星用 406 MHzであり、航空機の探索用周波数として121.5 MHz が追加された。これらのほかにインマルサット静止衛星を使用したL-band EPIRB(1.6 GHz )もあるが、現在では極軌道低高度衛星を使用した406 MHz システムがほとんどである。

周波数406 MHz のシステムは、コスパス/サーサット(COSPAS/SARSAT:COSMOS Satellite for Program of Air and Sea Rescue/Search and Rescue Satellite Aided Tracker)衛星を使用したもので、船舶や救命いかだなどから発射された遭難信号は衛星を経由して地上に送信されながら周回をつづける。地上局は、これを受信して信号を解読して遭難船の船名や遭難時刻などを知るとともにその位置を算出して、最適な救助活動を開始する。

遭難信号の発信場所は、ドップラー効果によって求められる距離差の線の交点から求められ、精度は5海里以内である。

なお、衛星EPIRBには浮揚型と非浮揚型とがあるが、船舶にGMDSS設備として搭載されるものは浮揚型である。

 

 

 

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