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4.7 MF/HF無線電話

MF/HF無線電話は無線電信とともに最も重要かつ普遍的な通信手段である。一般的には、MF帯は300 kHz から3,000 kHz の電波を、HF帯は3MHz から30MHzの電波を指すが、GMDSSでは海上移動業務に割り当てられた周波数で、MF帯は1,605.5 kHz を超え 3,900kHz 以下の電波を、HF帯は4MHz を超え 26.175 MHz 以下の電波を指している。

 

4.7.1 MF無線電話

MF無線電話は、1948年のSOLAS条約会議で導入が決められて以来、無休聴守のための警急自動受信機やホーミングのための無線方位測定機の導入などによって、遭難救助システムでの遭難通信に重要な役割を果たしてきた。

MF帯の遭難・安全周波数は、2,182 kHz と定められている。

因みに、GMDSSでは海岸地球局からMF帯での通信可能範囲(150 海里)をA2水域と定めている。

 

4.7.2 HF無線電話

HF無線電話は衛星通信が普及するまでは地球の裏側・極地圏との通信も可能な遠距離通信の主流であったが、電離層の状態が時間や季節によって変化するため常時安定した通信回線を確保できないという問題がある。また、周波数によっても、伝播路が相違するため海上移動業務には、4MHz、6MHz、8MHz、12 MHz、16 MHz、18 MHz、22 MHz、25 MHz が割り当てられている。

HF帯の遭難・安全周波数は、4,125 kHz、6,215 kHz、8,291 kHz、12,290 kHz、16,420 kHzと定められており、GMDSSでは、HF無線電話がA3、A4水域の主要な設備の一つとされている。

 

4.8 狭帯域直接印刷電信装置

狭帯域直接印刷電信装置(NBDP:Narrow Band Direct Printing system)はモールス電信の不便さを解消するための一方式として開発された海上通信システムで、船舶局と海岸局又は船舶局間においてMF/HF帯の送受信機と接続して、遭難・安全及び一般(テレックス)通信を行うものである。

 

 

 

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