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国際会議報告

 

ISSC技術委員会Special Task Committee VI.1:Extreme Hull Girder Loading出席報告

 

正員 渡辺巖*

 

標記委員会の出席報告をする前にこの委員会の活動概要をまず紹介する。1997年8月にノルウェー,トロントハイムで開催された第13回国際船舶海洋構造物に関する国際会議(ISSC97)において,西暦2000年に長崎で開催されるISSC2000会合に向けて,上記技術委員会「船体極限荷重設定法に関する委員会が設けられることになった。この委員会は主船体の最終強度設計法について標準的手順を勧告することを目的に設けられた2つの委員会の一つで,主として荷重設定法に関する事項を担当する。2000年という節目の年を記念する提案を作成することが期待されている。

 

任務(Mandate)は

Evaluate and develop direct calculation procedures for extreme wave loads on ship hull girders. Due consideration shall be given to stochastic and nonlinear effects. The procedures shall be assessed by comparison with in-service experiences,model tests and more refined calculation methods. Recommendations of standard design analysis shall be given.

とされており,委員の構成は以下のとおりである。

Chairman:Dr.J.J.Jensen,DTH,Denmark

Prof.R.G.Beck,Univ.of Michigan,USA

Dr.S.Du,CSSRC,China

Prof.O.M.Faltinsen,NTNU,Norway

Mr.N.Fonseca,Univ.of Lisbon,Portugal

Dr.E.Rizzuto,Univ.of Genoa,Italy

Dr.D.Stredulinsky,DREA,Canada

Dr.I.Watanabe,SRI,Japan

これまでに,97年8月のトロントハイムの第1回会合,98年3月米国ミシガン大学における第2回会合が開かれており,今回,第3回会合が98年8月9日から14日にかけて米国ワシントンで開催された。この時期に会合が設定されたのは,海事に関する流体力学シンポジウムに合わせたためで,本委員会の会合はシンポジウムに先立ち,ワシントンのHotel River Innで開催された。出席者は委員長であるJ.J.Jensen(デンマーク),R.Beck(米国),O.Faltinsen(ノルウェー),N.Fonseca(ポルトガル),E.Rizzuto(イタリー)と小生(渡辺)の6名であった。

Mandateから明らかなようにISSCとしての最終強度に関わる荷重の直接計算法の提案を求められている。そのために,次のような作業手順で作業を進めることになっている。(1)まずどのような計算法が最終強度設計のための荷重推定に使えるかあるいは実用的であるかを文献等で調査する。(2)次に大波高状況下で顕著になると思われる,スラミング,海水打ち込み荷重,粘性影響等の非線形性の中から,何を取り入れる必要があるかを明らかにする。そのためにはそれを取り入れたベンチマーク計算を行って結果にどのような差が生ずるかを考察する。(3)以上の考察に基づいて,極限荷重推定のために標準的な直接計算法として考慮すべき現象についての提案を行う。

 

*運輸省船舶技術研究所

 

 

 

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