日本財団 図書館


1 はじめに

 

液体自動車燃料の成分はたえず変化している。新しい燃料の成分は排出ガスを減らすことおよび燃料供給のベースを拡大することのいずれかのために導入されている。アルコールとエーテルという含酸素成分はガソリンの成分として広く使われている。植物油や植物油派生物のようなバイオ成分がディーゼル燃料あるいは燃料成分として議論されている。

 

燃料性状を評価するための多くの標準化されたテストは、本来炭化水素製品(しばしば直留燃料)のスクリーニングのために作られた。新しい成分を加えた、あるいは添加剤を加えた混合燃料の場合、従来のテスト手法では誤った結果を招きかねない。

 

自動車燃料の着火および燃焼特性は、例えば共同燃料研究(CFR)のエンジンのような標準化されたテスト・エンジンによるエンジン運転テストで評価される。しかしながら、これらのエンジン技術は最近の自動車エンジンを代表するものではない。テスト・エンジンを基準化するために使用される標準燃料の性状も最近の自動車燃料および代替燃料の内容とはかけ離れている。例えば、セタン・エンジンは着火促進剤を加えられたアルコールの着火特性を過小評価しているということが証明されている。

 

曇り点(cloud point)、低温フィルター目詰まり点(cold filter plugging point)等のディーゼル燃料の低温時の特性を評価するための標準的な方法は、新しい燃料あるいは添加剤を加えた燃料の実際の低温時の挙動と必ずしも関連していない。

 

IEA自動車代替燃料のための新燃料の品質を検証するという作業のアイデアは、1993年11月の米国コロラド州におけるアルコール燃料に関する第10回国際シンポジウムの場で最初に議論された。VTTは1994年2月にベルギーのアントワープで開かれた第17回IEA AMF EC会議の席上、その試案を提出した。VTTはさらに1994年10月にカナダのトロントで開かれた第18回IEA AMF EC会議に新たな提案書を提出した。EC委員会はガソリンに関する作業は除外するという条件でこの提案を承認した。最終的な修正提案が1995年9月にスウェーデンのストックホルムで開かれた第19回IEA AMF EC会議に提出された。

 

新たな作業の目的は標準化されたテストの結果と新しいディーゼル燃料の品質に関して実際の利便性の結果との間の相関関係を評価することである。その目的は新しい基準を開発することではなく、新しい燃料の品質の特性における現時点のテスト手法の欠点を指摘することである。研究されるべき特性は:

*燃焼特性

*排出ガスに影響を与える特性

*低温始動性

*ディーゼル燃料の潤滑性

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION