2. ソウルの人口高齢化
1)1995年現在、65歳以上の老人人口は43万であり、その構成比は4.2%に過ぎない。
2)低い構成比は生産人口の大量流入と少子化による年齢構造の鐘型化によるものであり、
3)老人人口扶養比は、総扶養比34.1%のうち5.7%で老年化指数も19.9%に過ぎない。
4)これを農村地域の老人構成比の13.9%、老人人口扶養比の20.5%、老年化指数の75.5%と比べれば、農村地域の方の高齢化がはるかに進んでいる。
3. ソウル市老人の家族構成
1)韓国の老人は、ほとんど全部(99.7%)がなんらかの家族形態の中に住んでいる。
2)ソウル市の場合、男の老人は、扶養状態にある三世代以上の家族の中に住んでいる比率が33.2%、二世代家族が32.2%、老夫婦のみの一世代家族が29.1%であり、1人世帯は5%足らずである。これに反して、
3)女の老人の場合は、約6割近くが三世代以上の家族の中に住んでいるとともに、1人世帯の老人が12%に近い高い水準である。
4)非老人の場合は、核家族の形態を意味する二世代家族と一世代家族が、それぞれ、77.2%と6.2%であり、三世代以上家族の構成比は11.9%に過ぎない。
4. ソウル市の高齢化に伴う老人問題
1)基本的に、他の国のそれと大差ないものであろう。
2)韓国の場合は、1]老後生活における生計難と2]老人の脱家族化が、老人問題の根源をなしている。
3)生計難は、「全部給えて、全部受ける」形式の伝統的な老人扶養体系の崩れから来るものであり、
4)老人の脱家族化の問題は、1]息子世代の核家族選好による老父母との別居、2]伝統的な老父母扶養意識の衰退、3]都市社会における共同体意識の欠如、4]政府の老人福祉への西欧社会の社会保障的接近(家庭内にいる老人ではなく、一人の独立した個人と見る意識と、養老・療養施設の拡充、家庭介護、昼間/短期保護事業の拡充など)からきている。