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1981年に老人福祉法が制定され現在に至るまで数回にわたる法改正が行われたものの、財政的支援が得られなかったため、諸対策における推進状況は思わしくない。

 

2. 人口移動及び都市化

 

韓国は人口転換の過程において急速な都市化を経験している。効率的な経済発展を図るため、大都市地域を中心とした拠点開発方式が推進され、産業化に伴う都市への人口移動に拍車をかけたのである。これは特定の大都市地域における人口過密現象を招くと同時に、他方においては、農村地域の絶対人口の減少を招き、農村の労働力不足をもたらし、高齢者だけが農業に従事するなどの社会問題を引き起こしたりした。

表3からわかるように、1965〜70年の間は、その他の開発途上国同様農村から都市への人口流出が移動人口全体の50%と、圧倒的な比重を占めている。しかし、その割合は徐々に低下しており1975〜80年に45%、1985〜90年に33%、とくに1980年以降は大幅に緩和されている。一方、都市から都市への移動は、1965〜70年に全体移動の22%の割合だったのが、1975〜80年に33%、1985〜90年に51%と持続的な増加を見せている。全体的に見てみると(農村人口の減少によって農村を起点とする農村→都市、農村→農村への移動は持続的に減少している反面、都市→都市への移動は一貫して増加のパターンを示している。都市→農村への移動の傾向が多少維持されているのは大都市周辺で見られる郊外化現象の影響が大きいものと考えられる。

とくに、移動者の選別性、適応性(Selectivity,Adoptation)などは、都市と農村における出産のあり方の格差を縮め、さらには都市地域における少子化及び人口高齢化に影響を及ぼすようになる。

 

表3 都市-農村間の人口移動

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