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 まとめ
 1.調整力にはあらゆる運動パターンの成就に共通に関与するような一般調整力と呼ばれるような要素はない。
 2.運動パターンのそれぞれに、それを成就するのに特有の調整力が要求される。
 3.調整力は神経機能の筋作用制御の結果として発揮されるが、その制御の仕方には、どの筋を(selecting)、 どの程度強く(grading)、筋力をどの方向へ発揮するか(spacing)、収縮,開緊のリズム(timingまたはrythm)の3通りに分かれる。
 4.幼児期と児童中期以後で調整力の性質が異り、幼児期および児童前期までは成就万能な運動パターンの数の増加とい う量的発達で特長づけられるが、それ以後は、成就可能な運動パターンの成就の力強さ、速さ、巧みさ等の質的な発達に調整力 は貢献するが、その関与は、筋力、瞬発筋力、筋持久力、平衡性、敏捷性、柔軟性、等々の基礎運動要素(fundamental motor elements) の関与より少ないと考えられる。
 5.調整力は運動学習の可能性を予測するのに役立つ。しかし、予測可能な運動学習能力は、測定された調整力を要求する運動 パターンの学習にのみ有効なものである。
 6.幼児の日常における運動を手がかりとして、調整力の構造を考察する時、性差がうかがえる。男子では全身調整力や手の 調整力は知的発達と密接な関係を示しているが、女子では、これらの調整力と知的発達とは独立な因子として抽出され、男子ほど 顕著な関連を示していない。
 7.成就可能な運動パターンのレパトリー数の経年齢的変化から、7.0〜8.0歳ぐらいまでに調整力の質の変化が生じるよう である。


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