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研究と報告

  遺族のケアを考える
  「家族の会」発足の意義と今後の課題

  松島たつ子*

 

はじめに

 ホスピス緩和ケアにおいては,療養中の家族へのケアはもちろんのこと,愛する人を失った家族や友人への死別後のケアの重要性も指摘されている。当ホスピスでも図1に示すように,患者の死後,遺族へのカードの送付,過去1年間に亡くなられた患者の遺族を招いての「しのぶ会」(図2)などを行い,その成果についてはすでに報告している。こうしたホスピス側からの働きかけとは別に,遺族が自主的に運営する「家族の会」設立の案が,開院から1年目(1994年)の第1回「しのぶ会」の頃から,スタッフ・遺族両者から出されていた。それから3年後の1997年10月に会が正式に発足し,1年4ヵ月を経過するが,この間,ホスピス側との橋渡し役として会に参加し,「家族の会」発足の意義と今後の遺族のケアについて考察したので以下に報告する。
 なお,発足までの経緯は図3に示すように発足の呼びかけに応じた家族の中から委員が選出され準備が始まった。

     

 

方法

 ?1993年11月より1997年6月までに当ホスピスでケアを受けて死亡した患者286名のうち連絡のとれる242名の遺族に対して,遺族の代表者で構成する準備委員が送付した入会案内への返事から,「家族の会」に対する各人の思いを考察する。
 ?役員会,親睦会などに参加し,活動に対する会員の感想や意見を聞き,「家族の会」の意義,今後の活動の可能性を検討する。

 

結果

 入会案内に対する反応は,図4に示すように入会する104名(42.9%),しない24名(9.9%),今のところ考えていない23名(9.5%),回答なし91名(37.6%)であった。入会を希望したものは入院期間が長い,患者との関係では妻の場合の入会が高い傾向がみられた。死別からの期間と入会状況との関係はみられなかった。
 回答に寄せられた自由記載のコメント欄には,表1に

 

 

* ピースハウスホスピス教育研究所

 

 

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