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表3 三つの異なった手法による血圧測定値の比較(22例の測定値
   の平均)(Aは患者,Bは医師による測定)

 第3には,上肢を挙上せずに,手を閉じたり開いたり3回行ってから測る方法である(?)。このようにして得た?と?の値,および?と?の値の相関がきわめてよく,これらの手技によって血圧値はあまり大きく変化しないことがわかる。また,A,B両者間でも有意な差を認めない。
 結局,第2相の雑音が聴取できないような測定条件で得られる血圧は信頼性に欠けるといえ,そのような場合にはいろいろの手技を用いてよい測定値が得られるよう工夫すべきである。通常の血圧測定においては聴診器の膜式チェストピースを用いるのが普通であるが,実はK音は120Hz以下の音からなっているので,膜式を用いるとこれらの音は相当程度カットされて聴きにくくなるはずである。それにもかかわらず膜式を用いることを勧めるのは,膜式のほうが集音効果がよく,ベル式では少しでも隙間があると音が聴取できないなどの不便があるためである。しかし,第2相の雑音がいろいろの手技によっても聴きとれないとき,ベル式のチェストピースに代えてみるとよい。このほうが低周波数性のランブルがより聴取しやすくなる。
 その他,血圧を測る上での2〜3の注意を加えると,先にも述べたように,連続血圧測定の成績から少なくとも測定前10分は安静を要するわけで,もちろんその前に排尿させ,心身とも安定した状態にする必要がある。

 

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