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図51 立位(左)と座位(右)における血圧測定
    測定部は心臓の高さに,また水銀柱は目の高さに保つ

 先にも述べたように,通常の血圧測定ではこれらの動きがあまり大きいと,血圧値を読みとることができないので,むしろ動きが小さくなるよう工夫されているが,反対に,これらの振動を忠実に表すような装置を用いて,この振動を詳細に観察すると,振動の開始,急激な振幅の増大,最大の振幅を示す振動,振動の減衰,そして消失の各相を区別することができる。
この振動のパターンで最大の振幅を示すところが平均血圧に相当するといわれ,間接的測定法で平均血圧が直接測定できるのは振動法だけとされている。
 聴診法は血管音を聴診することで測定する方法で,今日もっとも広く普及している方法であり,これについては後に詳述する。
 触診法は,日常の血圧測定でよく用いられ,あらかじめ収縮期圧がどのくらいであるかの見当をつけるために行われるが,これは聴診間隙による測定の誤りを避けるためにもルーチンに行うほうがよい。ところが,この触診法によって拡張期圧も測ることができることはあまり知られていない。

 

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