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図22 ピーキング現象とダンピング現象


 先に,血液の循環において風洞系の血管が第2の心臓としての機能をもつことを述べたが,筋肉ポンプの機序は第3の心臓といわれ,重要な役割を果たしている(図24)。すなわち,立ち上がって,静脈に血液が溜まってしまったときに,静脈には弁があるので血液は逆流しないですむ。その上,運動が始まると筋肉の収縮によって静脈が周囲から圧迫され,血液は心臓に向かって押し進められる。これが筋肉のしごきによるポンプ作用で,むくんだ足は少し歩き回れば治るというのは,このような機序によっている。
 そこで,循環系の調節における静脈系の機能をもう少し詳しく述べてみる。血圧の調節において細動脈の緊張が重要になることはよく知られているが,それと同じくらいに重要な静脈系の機能についてはこれまであまり顧みられていない。その意味で,すでに述べた筋肉ポンプとともに静脈還流に大きな影響をもつ腹部の静脈の機能についても注目する必要がある(図24)。

 

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