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 アメリカの様子をご紹介しましょう。8年ほど前の資料ですが,アメリカには全米ホスピス協会というものがあり,アメリカではこの協会の基準が満たされてはじめてホスピスと名のることができるシステムになっているようです。日本でも「ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会」というのがつくられましたが,アメリカでは横のつながりをもったこのような組織が,1990年代の初めにすでにボランティアの大会を開きましょうということで「全国ホスピスボランティアの集まり」が開催されていました。そこにはボランティアコーディネーターやボランティアが集まったのですが,その席でホスピスのボランティアはこれからどういうことを身につけていったらいいのかということが話し合われまして,1冊の本にまとめられました。
 今日は目次のところだけを紹介します。まず,いちばん最初に学ばなければならないのは,ホスピスの歴史や理念をきちんと理解しておきましょうということです。第2は,死と死にゆく過程について勉強しましょう。第3は,コミュニケーションのスキルを高めるような勉強をしていきましょうということです。また,患者さんの食事介助やベッド移動というような技術を勉強しましょうと書いてあります。それから,患者さんの症状についてもボランティアは知っている必要があるとはっきりといわれています。ボランティアというと,プロではないというか,何の知識がなくても,気持ちさえあれば誰でもできるのだと思っている方もおられるのではないかと思いますが,ホスピスボランティアはもう一歩踏み出して,きちんとした知識と技術を暖かい心に包んで患者さんに接していくことがたいせつではないかと思います。
 このほかにも,精神的あるいは霊的な心の動きについてもきちんと知っておきましょう。患者さんは死にゆく過程の中でどういう心の変遷を辿るのかということを知らなければならないとも書かれています。

 

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