日本財団 図書館


ボランティアの活動を通して副次的にマンパワーを提供するのであって,基本的にはホスピスの理念を支える,つまり存在そのものがたいせつなのであって,何かをするというのは二の次と考えてもいいのではないかとさえ思います。そういう意味では,もう一度,私たちはホスピスの中でボランティアの存在を改めて認識したいと思います。
 群馬ホスピスケア研究会が1995年に作成した『全国ホスピス・緩和ケア施設等の現状』として39施設を調べた資料を見てみましょう。39施設の中には,厚生省の設置基準を満たしていないところもあります。1997年12月のデータでは,厚生省の基準を満たしている施設は36施設,340床の収容力を持っています(1998.12.1現在49施設,903床)。
 ここでみなさんに見ていただきたいのは,「ボランティアの受け入れ」というところです。ゼロというところがら3桁のところまでいろいろです。これからホスピスがどんどんできてくる情勢です。ただ,本当の意味でホスピスといえるところがどれだけできてくるかについては,心配です。数は増えるのだけれども,質が低下するのではないかという危倶があります。その一つに,やはりボランティアを導入しない施設がこれから先,たくさん出てくるのではないかという感じがするからです。そうしたなかで,私たちは自分たちの施設で活動していくということと併せて,これからの課題として,ボランティアはホスピスにとっては非常にたいせつな存在なのだということを外に向かって一人一人が声を出していくことも大きな仕事になっていくのではないかと思っています。外に向かってアピールしていくことによって,日本におけるホスピスのボランティア活動が堅実なものになって根付いていくのではないかと考えています。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION