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 まず本人かご家族が電話で「ホスピスに入りたい。どういうところなのか知りたいのだけれども」というお問い合わせをいただきます。私たちは,ぜひ一度ご自分たちの目でどういうところかを見てもらい,本当にいいのかどうかお話を聞きたいと思いますから,なるべく家族もしくは近しい人においでいただくようにしています。一般の病院に比べると,施設はきれいですし,環境もいいので,ぜひこういうところでケアを受けたいと思われるのか,すぐ「入院の予約をしたいのです」と言われる方が多いのですが,そのとき必ず申し上げるのは,「ご本人がホスピスで療養したいと思っておられるのか,ご本人の意思を必ず確認してください」とお願いします。家族だけのご希望ですと,本人にとっては「無理に来てしまった」とか,「こんなはずではなかった」と思ったりすることがあると後で困りますので,「ご本人の意思ですね」と確認するようにしています。
 よく、ホスピスは病名の告知を受けていなければ入れないのではないかという問い合わせがあります。実際にいま入院している方の90%は病名や病状を自分でよくわかって選んでこられている方です。しかし必ずしも“よく知っている”ということを前提にはしておりません。ただ,ホスピスというのはどういうところかとか,ホスピスというのはこういう患者さんを受け入れるところだというパンフレットもありますので,よくご存じの患者さんが多くて,患者同士の自己紹介などでは,私はどこにがんがありますとか,病気で紹介しあう光景はよく見ます。
 また,患者さんが,自分の病気は何なんだろうか,どうして治らないのだろう,どうして調子がよくないのだろうといった思いになられて,「どうしてなんですか?」という問いかけを私たちにされたときには,私たちはうそはつかないという姿勢で患者さんに接しております。

 

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