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知的障害者福祉研究報告書
平成8年度調査報告


平成8年度 事業概要

特定の機能損傷のある人々に対する支援とサービスに関する法律および援助手当法
スウェーデン厚生省 1993年9月 (訳文責 冨安 芳和、1996年7月21日)

特定の機能損傷のある人々に対する支援とサービスに関する法律 (SFS:1993:387)

スウェーデン法典
SFS 1993: 387

1993年5月27日通過
議会の採決に従って、次の事項が命じられる。


導入条項

セクション1. この法律は、次の者たちのための特別な支援と特別なサービスに対する対策に関係した条項を含んでいる。
1. 知的障害、自閉症、あるいは、自閉症に似た状態の者、
2. 成人に達してから、外的な力や身体の疾病により脳障害を受け、それにより重篤な恒久的知的機能損傷となった者、
3. こうした損傷が重大なもので、日常生活でかなりの困難をもたらし、その結果、支援とサービスへの長期にわたるニーズをもつ場合には、普通の老化によって生じるものとは異なる継続するその他の身体的精神的機能損傷のある者。

セクション2 .セクション17に従って合意されていないならば、各郡協議会は、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション2-10に従う対策に責任をもたなければならない。
セクション17に従って合意されないならば、各市区町村は、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション1に従う対策に責任をもたなければならない。

セクション3. この法律において、郡協議会のために規定されている事項は、どの郡協議会にも含まれていない市区町村にも適用される。

セクション4. この法律は、私人が、他の法律に基づいて保持している如何なる権利の侵害をも認めるものではない。

行為の具体的目標と一般的方向付け

セクション5. この法律に従う行為は、セクション1に述べられている者たちに対する生活条件での平等とコミュニティ生活への完全参加を促進するものでなければならない。その具体的目標は、当該の私人が、他の人々のように生活することを可能にするものでなければならない。

セクション6. この法律に従う行為は、その他の公共団体と行政機関との協力によって行われなければならない。この当該行為は、個人の自己決定とプライバシーへの権利の尊重に基づけられなければならない。可能な限り、当該私人は、提供されている対策に影響力をもち、決定される事柄に自ら参加することが認められるべきことが保障されなければならない。
この法律に従う行為のために、与えられる優れた支援と優れたサービスとケアを可能にするのに必要な職員が確保されなければならない。

対策への資格

セクション7. 日常生活においてそうした援助を必要とし、その他の仕方ではそのニーズが満足されないならば、セクション1で述べられている者たちは、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション1-9に従う形での特別な支援と特別なサービスでの対策への資格をもつ。セクション1、サブセクション1と2で述べられている者たちは、その前提条件がこれと同じであるならば、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション10に従う対策への資格をもつ。
これらの対策は、私人が優れた生活条件をもつことを保障しなければならない。これらの対策は継続し、調整されなければならない。それらは、受け手の個人的ニーズによって調整され、それらを必要としている者たちにとってアクセスが容易で、彼らの自立生活の能力を高めるような仕方で構成されなければならない。

セクシヨン8. その人がそう求めたときにのみ、私人は、この法律に従う対策を与えられなければならない。当該個人が15歳未満か、その件に関して意見をもつ能力を明らかに欠いている場合には、保護者、私的代理人、法的後見人あるいは管財人が、その人に代わって、その対策を求めることができる。

特別な支援と特別なサービスのための対策

セクション9. 特別の支援と特別のサービスへの対策は、次の通りである。
1.重篤な恒久的な機能損傷のある人の生活を支配している問題と状態についての待別な知識を求める助言や私的支援、
2.その財政的支援に対するニードが、援助手当法(1993:389)に従う援助手当によって賄われない程度まで、そのような助けのための合理的な経費の援助や財政的支援からの助け、
3.付添いサービス、
4.私的接触からの助け、
5.家庭での解放サービス、
6.家庭外での短期滞在、
7.学校時との関係や休暇の間での、家庭外での12歳を越えた学童に対する短期の監督、
8.家族の家で暮らすため、あるいは、親の家から離れて暮らす必要がある青少年のための特別なサービスをもつ居住の場での暮しの設営、
9.成人に対する特別のサービスをもつ居住の場あるいは成人に対するその他特別に調整された居住の場、
10.収入のある就労や訓練もない働く年齢の者たちに対する日々の活動。

第一パラグラフ、サブセクション2に従う対策は、その対策の資格のある者が65歳に達した後の期間には関係がない。
ケアはまた、「成人のための特別なサービスについての居住の場」の対策におけると同様、第一パラグラフ、サブセッション5-8と10に従う対策にも含められる。レクリエーションと文化的活動も、「青少年のための特別サービスをもつ居住の場」とまた、「成人のための特別サービス付き居住の場」の対策に含められる。

セクション10. この法律に従う対策の補助と関係して、当該個人は、承認され計画された対策をもつ、個別計画が本人との相談のもとで立てられることを求めることができる。市区町村あるいは郡協議会以外によってとられた行為は、また、その計画に盛り込まれるべきである。その計画は、継続的に、また、少なくとも毎年1回見直されなければならない。
郡協議会と市区町村は、作成された計画について相互に情報を交換し続けなければならない。

セクション11. もしも高齢、病気、長期にわたる薬物乱用などによる衰弱の結果としてあるいはその他の理由で、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション2で述べられているように、市区町村によって提供されている財政的支援を処理する能力を欠いている場合には、市区町村は、提供される手当が、支援の資格のある人への私的援助の経費を支払うために使われるように、誰か他の人に支払われるべきことを決めることができる。

セクション12. セクション9、第一パラグラフ、サブセクション2に従って市区町村によって補助される財政的支援は、その支援を受けている者あるいはその代理人が、誤った詳細報告をしたり、誤ってあるいは過度に支給された財政的支援を受けていたならば、それらは払い戻されることを決めることができる。財政的支援が不正あるいは過剰に供給されていたり、その支援を受けている者かその代理人が、善意から気づかずにしていた場合にも当てはまる。

セクション13. セクション9、第一パラグラフ、サブセクション6-10に従う行為に関して、政府あるいは政府から権限を与えられている機関は、個人の生命、その安全、あるいは、健康の保護のための施行規則をだすことができる。

市区町村に対する特別な義務

セクション14. 市区町村は、セクション10において述べられているような計画に含まれるべき対策が調整されることを保障するために、可能なことをしなければならない。

セクション15. 市区町村の義務には、次の事項が含まれる。
1. この法律によってカバーされている者を確認するために、追跡を継続し、支援やサービスに対する彼らのニーズが何かを見る、
2. セクション1で述べられているような者たちが、そのニーズを満足することを保障するために、可能なことを行う、
3. この法律に従う行為に関連のある具体的目標と対策に関する情報を供給する、
4. セクション1で述べられている者たちが、仕事や勉強の施設へのアクセシピリティをもつことが分かるように助ける、
5. 公共のレクリエーションや文化施設が、セクション1で述べられている者たちにアクセス可能になるように保障できることを行う、
6. セクション1でカバーされている者たちが、一方では、法的後見人、管財人、あるいは、私的代理人を必要としていると考えられるとき、他方では、後見人、管財人あるいは私的代理人の指名が終結されるべきときには、主任後見人を公にする、そして
7. 長期にわたる機能損傷のある者たちを代表している団体と協力する。

郡協議会と市区町村の責任に関する一般的条項

セクション16. 市区町村は、そこに居住している者たちに対して、この法律に従う責任をもつ。

セクシヨン1で述べられているような者たちが、ある市区町村で暮らしたいという意志を示し、申し出たときには、その市区町村は、セクション9に従う市区町村の側での対策に関する資格についての事前の通知を行わなければならない。事前の通知に対する申し出が考えられる場合には、この法律の条項が適用されなければならない。市区町村は、遅滞なく、その私人がその市区町村に住もうとしている場合には、事前の通知でその者に資格ありとする対策を計画し、準備しなければならない。事前の通知は、6ヶ月間有効で、それは当該の者に対策が与えれるようになる日から計算される。
その市区町村にその者が一時的にとどまっている間、この法律に従う対策に対する必要性があるならば、市区町村は、必要とされる支援と援助を即刻に与えなければならない。
郡協議会の義務に関するものとして、市区町村に関してこのセクシヨンで述べられていることは、郡協議会にも適用される。

セクション17. 郡協議会あるいは市区町村は、依然として責任を維持するけれども、この法律に従う対策の供給に関して、他の個人あるいは団体と合意を結ぶことができる。
郡協議会と郡協議会の一部に当たる市区町村は、この法律に従う一つあるいはいくつかの機能に対する責任が、郡協議会から市区町村へ、あるいは、市区町村から郡協議会へ移されることができるという主旨での合意を行うことができる。そうした移管が行われる場合には、郡協議会あるいは市区町村に関するこの法律の規則は、その義務が移管された個人あるいは団体に適用される。
郡協議会と市区町村が、第二パラグラフに従って合意を結んだ場合には、この移管は、この合意によって保障されている額を受給者に行うことができる。移管が、郡協議会からその郡協議会に含まれる市区町村すべてに行われる場合には、市区町村間の経費を均等にするために必要な場合には、市区町村は互いに財政的な寄与を行うことができる。

負担と関連事項

セクション18. 社会保険事務所による決定に従って、援助手当法(1993:389)に従う援助手当を受ける資格を認められた者は、その手当の枠内での私的援助に対して支払を求められることができる。

セクション19. 全障害者年金あるいは全老人年金の形での国の年金をもつ者、あるいは、同等の金額のその他の収入のある者から、居住の場、レクリエーションや文化活動に対する合理的な料金が当該市区町村によって認められている原則に従って徴収されることができる。しかしながら、その負担は、市区町村によって求められている実際の経費を越えてはならない。市区町村は、私人がその私的ニーズのための十分な資金を維持することを保障しなければならない。

セクシヨン20. 18歳未満の者が、この法律によって自分のもの以外のホームでケアされる場合には、その親たちは、このケアに対する市区町村の経費に対し、合理的な程度まで、負担する責任がある。市区町村は、そのような場合には、当該児童に関して維持費を受け取ることがある。


セクション21. セクション18-20に掲げられた以外のケースの場合には、経費に対する負担や払い戻しは、この法律に従う対策のために求められることはない。

委員会

セクション22. 郡協議会や市区町村のこの法律に従う行為の管理は、市議会で指名された一つないし数個の委員会によって行われなければならない。

私的行為

セクション23. 郡の運営理事会からの免許なしに、何人も、セクション9、第一パラグラフ、サブセクション6-10において考えられるような商業的行為を行うことはできない。免許の申請は、その行為が実行される郡の郡運営理事会に提出されるべきである。郡運営理事会は、行われている行為を検査する権利をもつ。
私的行為は、それらが行われている市区町村において、セクション22で述べられた委員会によって監督されなければならない。セクション17、第二パラグラフに従って、この義務への責任が郡協議会に移される場合には、こうした行為は対応する郡協議会委員会によって監督されなければならない。この委員会は、行われている行為を検査する権限を有する。

セクシヨン24. セクション23で述べられている私的行為に何か重大な不満足が生した場合には、郡運営理事会は、その行為を行っている個人あるいは団体がその不満足な点を改めるべき主旨の命令を発しなければならない。
この郡運営理事会の命令が遵守されない場合には、理事会はこの免許を取り消すことができる。

監督と関連事項

セクション25. 全国厚生理事会は、この法律に従う行為を中央で監督する。この理事会は、そうした行為を追跡し、支援し、評価し、また、それらについての情報を提供し、一層の発展を刺激しなければならない。

セクション26. 郡運営理事会は、この法律に従う行為を、その郡内で監督し、その過程でそうした行為の検査を行う。
郡運営理事会は、その郡内で、また次のことを行わなければならない。
1. 当該行為に関係している事項に関して一般大衆に情報と助言を提供する、
2. その行為に関して市区町村に助言を行う、そして
3. 市区町村、郡協議会、その他公的団体の間で、計画に際しての協力を促進する。

告訴

セクシヨン27. セクション22で述べられているような委員会や、もし決定に関わっているのなら、郡運営理事会による決定に対して、郡運営裁判所に告訴する権利がある。
1.セクション9に従う私人のための対策、
2.セクション11に従う誰か他の人への支払、
3.セクション12に従う払い戻し、
4.セクション16、第二パラグラフに従う資格に関する事前通知、
5.セクション23に従う私的行為に対する免許、あるいは
6.セクション24に従う命令や免許の取り消し。
最後のパラグラフに関する問題の決定は、即時に適用される。しかしながら、郡運営裁判所や運営告訴裁判所は、その決定が法的な力を与えられるまで、それが適用されるべきではないことを命令することができる。

罰則

セクション28. セクション23、第一パラグラフ、第一文の故意あるいは過失の違反者には、罰金が課せられる。

秘守義務

セクシヨン29. この法律に従う対策に関係している私的行為に基づいて実行し、あるいは、実行してきた者は、何人たりとも、法律が認めない限り、私人の私的状況について、その過程で知り得たことを、口外してはならない。


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