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知的障害者福祉研究報告書
平成8年度調査報告


平成8年度 事業概要

こばと学園(重症心身障害児施設)の概要

●施設概要
・児童福祉施設と医療法に基づく病院としての機能を合わせ持つ福祉施設。
・児童福祉法に基づいて、「重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複している児童を入所させて、これを保護するとともに治療及び日常生活の指導をする」ことを目的としている(児童福祉法第43条の4)。
しかし、同様の障害をもつ18歳以上の人でも入所させることができるようになっている。
・昭和43年6月設置。定床180床、構造規模は、RC2階建て延べ4,637?uで5病棟編成である。

●「こばと学園」(重症心身障害児施設)の概要

〈利用者の特性〉
・児童福祉施設であるが、平均年齢は31歳を超えており、実際には18歳以上が中心になっている。18歳未満の人は、計178人中16人である。
18歳を超えた人の入る施設がないことから、18歳を超えても引き続き、入所しているというのが実情である。
180人の定床のうち、177人は固定利用の人達である。

・在籍している人の障害の程度は重く、「大島の分類」による?@〜?Cの人が中心である。

・介護にあたっては、「食事」が一本の柱であり、利用者で食事が自立している人は1人、全介助が必要な人は66%いる。
また、2番目として「排泄」の介助があり、何らかの形で排泄に際して介助が必要な人は100%である。

・障害は重く、コミュニケーションは困難であるが、40%程度の人は、何とか自分の意思を伝えることができる。しかし、半数以上の人は、その意図していることころを伝えることができない。
コミュニケーション能力の高い人では、ワープロやパソコンを手では入力できないが、体の機能を生かして、入力して表現する。

〈職員体制〉
・学園長は医師。全スタッフ203名中102人と半数は看護婦で構成され、指導員・保母等の福祉職が80名である。

・職員体制は1:1であるが、非番もあり、変則勤務体制でもあることから、個別の対応にも限界が生じる。このようなことを背景として、月ごとに担当制としてこの日の午後は、この職員が、この人を個別に担当して、その時は本人と職員が相談して、何をしてもよいという取組を行っている。
意思を表現できない人に対しては、何をしてあげれば喜ぶのか探りながら活動を行っている。しかし4月になれば、担当者も変わってしまうため、その繰り返しになってしまうというのが実情である。

〈学園活動〉
・毎週水曜日に「学園活動」と呼んでいる、一種のクラブ活動を実施している。
学齢期には、養護学校から先生が来て教育を受けていたが、卒業する人達が増え、その人たちの日中の活動として成人学級としての取組を行っていた。学園活動はその延長線上の活動として行っている。

・平成2年から、自分たちの考えを伝えたいということで、学園活動として新聞作りに取り組んでいる人が10人ぐらいいる。

〈病棟の構成〉
・病棟は、「医療を要する児・者(医療病棟)」、「寝たきり児・者(混在病棟)」、「動く重症児・者(動病棟)」から構成され、さらに混在病棟が3つに分かれて、全体では計5つの病棟で構成されている。
・1病棟あたりの定床は36床で、それを12床づつの3つに分けている。

●総括

・開所当時はみんな小さかったが、今はみんな大きくなり、建物の手狭、老朽化が問題になっている。

・愛知県下には3,000人の重症心身障害者がいて、そのうち180人がこばと学園に入っている。入所希望は後を絶たない。

・ショートステイの受入を4床行っている。このうち1床は長期間利用する人もいるので実際は3床を争って利用するような状況になっている。予約はずっとうまっている。ショートステイのニードは非常に高く、絶えることがない。








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