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2]援農交際事業

 

ア. 事業の考え方

 

●援農交際事業は、都市住民が土いじりのレクリエーションを兼ねて、農家の手伝いをするというものである。前述のように農業従事者の高齢化が進み、重量野菜の栽培などは高齢者には負担が大きく、若い力が必要とされている。一方、都市住民は、市民農園の利用への希望が高いものの、その受け皿の整備が進んでいない。土いじりがしたくてもできないのである。また、幸運にも市民農園が借りられても、野菜などの栽培方法の知識がなく、じょうずに作ることができず、試行錯誤するという問題もある。

 

●こうした両者の不都合を解決する糸口として“援農交際”を展開する。こうした動きは東京の多摩地域や練馬区などで活発になってきている。横浜市では「援農バンク」を設立し、パートタイマーとして賃金を支払う形で、市民が農業に参加する動きもある。これは、横浜市緑化センターが2年間にわたる「市民農業講座」を実施、修了者を「援農人材バンク」に登録し、随時農家に派遣する仕組みである(『農業で独立する方法がわかる本』)。

 

イ. 事業の推進方法

 

a. コーディネーターが、熊谷市や東武東上線沿線の都市住民などを対象に、“援農交際”の希望者を募ると同時に“援農交際”を求める農家も募る。募集時に、双方の条件(交際の期間、日程、時間帯、及び手伝う作業内容など)を確認する。

 

b. コーディネーターは、条件の見合う交際相手を紹介し、少額の紹介料を双方からもらう。都市住民は、その報酬としてその収穫物の一部を分けてもらうか、パートタイマーとして賃金をもらう。

 

●この事業にあたっては、町内を隈無く歩いて、援農希望農家のリストを作成し、その意向や条件を聞き出すことに1年程度はかかり、また、都市住民の希望者リストを作成するのにも数ヵ月はかかるであろうが、比較的短期間に着手できる事業になる。

 

●この事業は、年間契約を斡旋するもので、1年を経て更新する際には農家と都市住民双方から再び斡旋料をとることにするにしても、あまり利益は期待できない。しかし、会が農家及び都市住民と結びつきを強める副次的な効果が期待できる。

 

 

 

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